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皆本
2014年12月21日 23:53
お風呂上がりで火照った身体を、少し上のほうからベッドに落とす。落とされた彼女は、ほぉっとゆるく淡くほの熱い息を吐き、天井の蛍光灯の明かりを見つめて、眩しそうに目を細める。そっと首を傾ける。意思のない人形を思わせる仕草で、その無機質さが愛しかった。 乱暴な子供が戯れにそうしたように、人形には手足がなく、バスタオルが巻かれている。柔らかで乾いたタオル越しに見える線は、凹凸が少なく、幼く見えて、彼女
2014年11月28日 06:01
月はもうすでに古びたデジタルで、ときおり滲み、囚われの姫である君は囚われの塔の窓からそれを見上げている。君自身もデジタルで、ふとした瞬間にノイズが走る。泥で薄汚れたドレスを着込み、睨みつけるような視線を僕に向ける。カメラなどはないはずなのに、君は的確に僕を見つける。僕もときおり君の前に姿を現し、話しかけたりもする。やあ、元気かい。今何をしてるの? そんな言葉は規定により伝わらないし、もし伝わってい