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movie ナミビアの砂漠 〜河合優実

カナと、他二人の男の生態観察。

カナ、人間が持つ感情の発露の集合体
ハヤシ、エリート崩れのおぼっちゃま自称クリエイター
ホンダ、母親のような万能感に圧倒的支配欲を隠す凡庸な会社員

三人とも今時の若い人たちというわけではなく、
あー私も同じだ。とか
なんか知ってる?見たことあるかも?って思う人たち

まず、ハヤシとホンダに知り合いの親子の姿を見てしまった。
故意か過失かエリートコースをdropoutし、同期のエリートたちへの嫉妬と劣等感を心に隠しつつ捨てきれないプライドから足掻いてみるも、何者にもなりきれないと思われるハヤシに知り合いの息子さん
母のような愛情?執着をカナに拒絶されて、道路に突っ伏して号泣するホンダに子離れできない超過保護なその母親が重なり苦笑
私の知り合いの親子さんごめんなさい。
ハヤシとホンダは親子じゃないし二人で一つ?とは違う、表裏一体?でもない
ただカナを介して体裁を保っている者同士な感じが絶妙に気持ち悪い。

表層的にはアガペーなホンダは、優しくて便利で暮らしに楽だけど
そこに押しつけがましい支配欲を垣間見せられたら、訳もなく傷つけてやりたくなるのも
パッと見 無敵感纏うハヤシが魅力的に思えたのに、実際は自分にしか興味のないおぼっちゃまな小物だったのが、なんか違う感にイラッとして嫌がらせして暴言吐いちゃうのも
ちょっと疲れて、自分を俯瞰で見て、カウンセリングに通うのも
本当は誰かに「わかるよ」って言ってほしいのも
なぜかシンパシーを感じてしまう。
カナは意地悪で自分勝手で非常識?そうかな?
あんな振る舞いができるのは人生でほんのひととき。
若くてかわいいの特権。何が悪いの?そうじゃない人の嫉妬なんか関係ない。
カナを見ていると、自分に常識があると思っている人こそ嘘っぽく見えてくる。

自分を制御できなくなったカナの行動原理の帰結を自分が壊れていると思う方向に持っていくのはただの辻褄合わせのよう。そこに理由は必要かな?
傍若無人で自由なことは実は苦しい?
でも女って年齢関係なく、もっと強かで図太い生き物だってこと
あの頃よりずっと美しくなった、キャンプだホイの隣のお姉さんが体現しているのに!
そっちの方が魅力的。


結局あの三人って、しばらくはあのまま同じこと繰り返していそうなending
カナとの乱闘が心のリハビリのためのプロレスごっこみたく変化してるの、
義務のようにそれに付き合うハヤシの人柄にお育ちの良さが出ていて、それがカナにも伝わっている感じが微笑ましく見えてくることに、また苦笑。

カナの10年後を想像する
ハヤシでもホンダでもない誰かとしれっと結婚していて、ママ友たちとのランチ会で隣のテーブルの話に聞き耳を立てている。きっと。

人間って、誰でも所詮は自分のためだけに生きてるんだって安心する。
自分のことすらよくわからないのに他人のことなんてわかるわけないのに。
人物の捉え方、見せ方が独特で面白かった。



今、とても気になる人。河合優実さん

私の観た彼女が出演していた映画と舞台とドラマ

映画
佐々木、イン、マイマイン
サマーフィルムにのって
由宇子の天秤
ちょっと思い出しただけ
愛なのに
PLAN75
ある男
少女は卒業しない
モダンかアナーキー
あんのこと


舞台
フリムンシスターズ
ドライブイン カリフォルニア

ドラマ
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
不適切にもほどがある!

わりと色々観ている。
ちょっと思い出しただけ くらいまでは特に彼女を意識して観ていなかった。
さりげなくそこに居るのに印象的な存在感がだんだん気になり始めて
今は彼女が出演する作品は必ず観たいと思う俳優さんの一人になった。

彼女が演じる人物はすべて、河合優実なのにまったくの別人なのが稀有に思えて
果たして俳優なんだからあたりまえだと思うかもしれないけど、
彼女と同世代の若い俳優には、本人が投影されているのが見えちゃう人の方が多い気がする中
彼女は毎回その人物にしか見えない、芝居を見せない?演技を感じさせない芝居に目が離せなくなるのがたまらなく魅力的。「ナミビアの砂漠」も然り。
アクの強い個性的な役も悪くないけど
素直で聡明な人柄がインタビューの言葉から伝わる彼女の、
シンプルな love story が観たい。
これからの作品もとても楽しみ。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』も楽しみ!

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