theater 峠の我が家
峠の我が家に巣くうもの。
晴れた休日。
M&Oplays 『峠の我が家』大千穐楽へ
なんでこのtitleになったのだろう?
『峠の我が家』という言葉から想起するのは、優しい明かりが灯る温かい家
そんな勝手なイメージからかけ離れた、夏が過ぎた旅館《峠》は
そこに居る人、訪れる人たちの抱える様々な痛みが滞留する場所。
何かが起きそうな不穏。けど何も起きない。
ただ感じるのはどこか身に覚えのあるような違和感。
登場人物たちが交わす、チグハグで皮肉めいた会話から憎悪、嫉妬、恋焦がれるような想いが透けて見え、薄ら寒い冷たさとザラザラした感覚はそこから次第に露わになる狂気の感触。
そう、川の側で眠るような。
戦争のみならず、紛争や災害や犯罪そこから派生するものから人が受ける痛みが滞留する場所は時が止まっているように思えて、過去も現在も無くずっと在り続ける。
《峠》を訪れる人、居続ける人、逃げ出せない人、逃げ出した人それぞれの感覚に自分を重ねてゾワゾワするのかもしれない。
って自分でも何を書いているのかだんだんわからなくなってくる…
岩松了さんの戯曲は難しい。いつも
会話劇の膨大な台詞からその意図するものを理解しようと頑張って頑張って
観ても、はて?
で終わっちゃうことがほとんど。
物語で描かれていることの真意を理解することができていないとしても、
反芻し咀嚼して自分なりの答えを探したり、印象的だった台詞の意味するところに思いを馳せたりしながら長く余韻に浸れるのが楽しくて舞台は見逃せない。
今回は斗紀の姉の言葉として斗紀が語る
いじめられていたのが妹じゃなくて、知らない子だったら私は助けたと思う
この台詞が印象に残って
なんだろ最初は、えっ?!なんで?と思い
でも、あーなんかわかる。と思ったり、でも違うやろ…?ってなったり
気持ちがゆらゆらする台詞が自分に刺さる理由を今も考えている。
ほんと、岩松さんはすごい人。
そして、カテコでいつもキャストの紹介があり、みなさんの一言が聞けるのも
俳優さんの素の部分が垣間見えたりして嬉しい。
今回は大千穐楽の感想など、
二階堂さんは、お芝居が終ってお正月何しようかな?って考えてるとおっしゃられて年末のご挨拶をされたのが笑いを誘っていた。可愛いらしい人♡
岩松さんは、大阪で野次られたトラウマepisodeをよく話されるけど、今回もそのことをお話しされていた。よほどの衝撃だったご様子。
素敵な舞台をありがとうございました。
余談。
舞台美術は愛甲悦子さん。
世界観が構築されていく過程がプログラムに掲載されていてとても興味深かった。
映画『トイレのピエタ』を思い出した。
そういえば、岩松さんは宏のお父さん役だったな…。
ここ数年、12月の観劇で毎年訪れる場所
今年のApplause Tower の Christmas tree🎄 とともに。