観劇記録「ミュージカル マリーゴールド」
TRUMPシリーズの作品「マリーゴールド」を観劇しました。
(「TRUMP」「LILIUM」「マリーゴールド」のネタバレを含みますので注意してください)
「TRUMP」や「LILIUM」は前半がコメディ色が強くて後半で一気に畳みかけてくる娯楽要素の強い作品だったのに対して、「マリーゴールド」は正統派ミュージカルなイメージ。皆さんお歌があまりにお上手でビビる。これが宝塚出身の力……
「LILIUM」の後続作品であり、LILIUMにつながる要素も結構あってLILIUM大好きマンの私もニッコリ。「やっぱりサナトリウムにはティーチャーいないんだ!」とか「ドブネズミの臭い」とか。あとはソフィとウルだったり「永遠なんて糞くらえ」だったり「TRUMP」要素も散りばめられていて、やはりマリーゴールドはTRUMPとLILIUM履修してから見るべきだなぁと。
物語の感想はというと
もうね、心が痛い。この結末がLILIUMというのが余りに救いがない。確かにガーベラはアイツに一矢報いる形にはなったけど、それがガーベラにとっての救いになるかと言われれば…うん……
というかガーベラはどうしたら幸せになれたんだろう。母のただ一つの愛を注がれて、それだけを糧にして短い生を全うするのが本当に幸せと呼べるのか。メリバでは……?とはいえサナトリウムで迫害を受けながら永遠の繭期を過ごすのが幸せかと言われればうーんそれも微妙。TRUMPのソフィは繭期といえどかなり精神が安定していたのもあって自身の生に満足して終わることもできそうだったんだけど、精神が不安定で母の愛だけを幸せの源としていたガーベラはどうあがいても幸福な形が見えない…辛い……。
母との壮絶な別れを経験せず、依存先を絞られない状態で「その手に触れて微笑んでくれる人(リリー)」に出会えていればまた別の形もあったのかもしれない?
ガーベラの周囲の大人たちは皆欠けたところがあって、それが結果的にガーベラを追い詰める形になってしまったりするんだけどじゃあ大人たちが好きになれないかと言われるとそんなことはなかった。何というか欠け方に人間味があるというか親近感を覚えるというか。特にヘンルーダのヘタレ方やコリウスの小物っぷりはどうしても嫌いになれなかったなぁ。イライラを持たせずに欠点を演出できるのって何気に凄いと思う。
(ここからネタバレが加速しますので未視聴の方はブラウザバック推奨)
それとね…マリーゴールドで外して語れないのがソフィとウル。まさかただの名前被りってだけではないだろうしソフィの正体はアイツかなーでもウルは誰だろうなーと思ってたらまさかのまさか。お前かキャメリアァ!LILIUMの時のキャメリアはイニシアチブで記憶消されてたのかな…だってあんだけ村人殺戮した記憶あったら絶対自責の念にさいなまれてるだろうし……
TRUMPを見たときは「なんかもう素直にファルスを憎めないな……」と思ったけど、マリーゴールドを見ると「いやファルスやっぱクソだわ。吐き気を催す邪悪だわ」ってなったのは私だけではないと思う。ガーベラといいキャメリアといい、永遠の繭期を共に過ごす相手の扱いが酷過ぎる。操り人形なんかいらないと言いつつウルごっこってお前…お前……
末満さんらしいけどTRUMPやLILIUMとは少し違った毛色の、コメディ色が薄い正統派ミュージカルじみた作品でした。でもTRUMPとLILIUMを観てからだとより楽しめるし、もう一度TRUMPとLILIUMが観たくなる。そしてTRUMPで一度は絆されたファルスへの好感度が再度地に落ちる。許さねぇ。
TRUMPやLILIUMではほとんど描かれなかった"人間"社会の様子を色々と知ることができて、よりTRUMPワールドに深く浸れた気がします。より絶望が深まっただけとも言う。