マシュー・スウィート
今朝、Webを見ていたら、マシュー・スウィートがツアー先のカナダで脳卒中で倒れたというニュースを目にしました。
彼は1986年に「Inside」でデビュー、1991年の「Girlfriend」、1993年の「Altered Beast」など、90年代を代表する素晴らしいアルバムを生み出しました。そして彼は大のアニメ好きとしても知られていて、左腕には『うる星やつら』のラムちゃんのタトゥーを入れています(「Girlfriend」は私の持っているCDは寺沢武一の「コブラ」のピクチャー・レーベル仕様になっています)。
彼は90年代以降もコンスタントに作品をリリースしていて、新しい作品が出るたびに必ず私は聴いてきました。 今月の6日に60歳を迎えたばかりのマシュー。現在はアメリカのリハビリテーションセンターで24時間体制のケアと治療を受けているそうですが、どうかどうか回復して欲しいのです。
マシュー・スウィートは「パワー・ポップ」と呼ばれるジャンルのアーティストだと思います。「パワー・ポップ」はメロディーとハーモニーを重視しつつ、ギターやドラムなどの演奏面ではハードにもしくはパンキッシュな要素も持っているポップミュージック、という感じかな・・・。そして「泣きのメロディ」が感じられて。やっぱりルーツとして大きいのはビートルズだと思いますし、ザ・フーも、キンクスも、バーズもかな?ビーチボーイズも、ジェフ・リンと私の大好きなロイ・ウッドがいたThe Moveもそうだと思います。そこから1970年代の前半のラズベリーズとか、バッドフィンガーへと受け継がれたというか。
70年代の半ばにはアレックス・チルトンのビッグスター(大好き!)やパイロットが登場し、後半になると泣きのメロディーとハーモニーに「ひねり」を加えたようなナックとかチープ・トリック、そしてXTC(ものすごく好きです)が現れて。ナックの「My Sharona」はザ・パワー・ポップという感じだなと思います。ただ、ナックはいわゆる一発屋的な状況となってしまい、そこで一旦、パワーポップ的なバンドは勢いを無くすというか・・・(80年代後半にLAでペイズリーアンダーグラウンドというムーブメントは起こりつつも)。
でも90年代に勢いが再び盛り返すのですが、そのことにマシュー・スウィートは大きな役割を間違いなく果たしました。彼の「Girlfriend」は紛れもなく1990年代のパワー・ポップを代表する1枚です。「Girlfriend」がリリースされた91年はオルタナティヴ・ロックの時代が本格的に幕を開けた年でもあって(ニルヴァーナの「Nevermind」がリリースされた年)、シーンの中心はいわゆるグランジロックのバンドだったと思いますが、その流れでパワー・ポップ系のバンドも注目を浴びたと思います。私がずっと大好きで、今もアルバムが出るたびに手に入れているグラスゴーのバンド、ティーンエイジ・ファンクラブは91年に「Bandwagonesque」をリリースしましたし。
ここまで散々「Girlfriend」が90年代のパワー・ポップを代表する1枚と書いてきましたが、「Girlfriend」はパワー・ポップのジャンルに限定されない、ロックアルバムとして優れたアルバムだとも思っています。ニール・ヤングを感じるところ、トム・ペティを感じるところもあって。元テレビジョンのリチャード・ロイド、ルー・リードのバンドのロバート・クワインなど、名うてのミュージシャンたちが参加していることもありますが、ロック史上、屈指のギター名盤のアルバムだとも思います。
そんな素晴らしいアルバム(他のアルバムも素晴らしいものが多いです。最初の方であげた「Altered Beast」も、「100% Fun」 もスザンナ・ホフスとのカバー集も、ビーチボーイズの「Pet Sounds」を意識して作られたであろう「In Reverse」も「キミがスキ・ライフ」も)を生み出してくれたマシュー・スウィートがどうかどうか、回復しますように。心の底から祈っています。
この曲から「Girlfriend」のアルバムが始まりますが、最初のギターリフから、掴まれたんですよね。
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