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フェロモン香水を使ったら人生変わった女子中学生の話

私がまだ中2だったころ。

田舎の公立中学校では、空前の「恋愛ブーム」が起こっていました。

スクールカースト上位の男女には、みんな付き合っている人がいたのです。

(う、う、う、うらやましい・・・・・・・・・!!)

と、私は心の中で叫んでいました。

私だって彼氏が欲しい。しかも、中学生で「彼氏がいる」というアイコンは、他者からの好意だけでなく、地位も名誉も約束された、すごーーいものだったのである。

「彼氏ができれば、一気にスクールカースト上位にいけるのでは?」

・・・そう思いたった私は、「彼氏つくる計画」を、立てることにしました。

***

なぜ私には彼氏ができないのかを考える

まず、彼氏がいるクラスメイトと「私」、一体どこが違うのか比べてみることにしました!

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まぁ、正直、表にすると長すぎるので割愛していますが・・・

この田舎の中学校で「彼氏がいる・いない」の差は

もうすでに、「生まれつきのポテンシャルの差」としかいいようのないほど、明らかでした。

だって、校則という制限のなかで輝ける女子がモテるのだから。


モテる女子は顔が可愛い

中学生で彼氏ができるような女子は、みんな顔が可愛かったです。

は。あたりまえでしょ。と思った方もいるかもしれませんが・・・。

うちの学校では校則でメイクが禁止されていました。

つまり、「すっぴんでもかわいい」という女子がモテます。

というわけで、やっぱり、ぱっちりおめめの二重の子がモテていた。

こんな遺伝子の差、目の上のたった1本の線で、モテが決まるなんて・・・!

悔しい。どうにもならねえ。

私は奥二重で、眠くもないのに「眠いの?」って言われるような目。

秘儀「アイプチ」という手もありますが、アイプチしていって学校にいったら登校後15分で先生にバレて、タオルでゴシゴシされました。


制服の着こなしで差がつくスタイル

彼氏がいる女子は、みんな、なんだかんだ制服を着こなしていました。

制服のスカートのひざが出ているか、出ていないかで、だいぶダサさが変わります。

え、わたしですか?

当時143cmしかなかった私は、スカートを3回曲げても、膝がみえず・・・

しかも、曲げすぎるとスカートのプリーツがどんどん歪む。

「ダセエ・・・」としかいいようがなかった。

制服のミニスカートから、すらりとのびる綺麗な脚は憧れでした。

ちなみに、制服を着こなす女子は、「スカートが短い!」と先生から怒られていても、「はぁ?私の脚が長いだけですけど〜〜w」みたいな態度をとり、ぜんぜん悪びれてなかった。

わたしだったら、そんなふうに先生に怒られたら、3日ぐらい寝込む自信があるよ…。

つまり、「制服を着こなす」=「先生に怒られても逆ギレできる強さ」を持っていたということ。

そりゃあ、かっこいいし、モテるよね!反骨精神、大事!


なんだかんだ運動神経のいい女もモテる

わたし、運動神経が悪いんです。

ソフトボール投げさせたら、4mしか飛ばなくて、
「オイ〜〜〜まじめにやれ〜〜〜!あっまじめにやっててソレだったねw」

みたいなことになってたので、そりゃあ、学校じゃモテない。

もちろん運動神経のいい男子はモテましたが、そいつら、なぜか運動神経のいい女子とばかりくっつくんですよね。どうして?

体育のバスケの時とか、率先してシュートいれてくるし、ああもう。

スポーツできる中学生って、男女問わず、堂々としててカッコよかったんですよね。

しかしまぁ

なんで、かっこいい男とかっこいい女同士がくっつくんだ!!

運動音痴なわたしはさらにコンプレックスが加速してなんもできねぇ!!!

縮まらない、この差よ!!!


学校でモテる女は性格がいい

これでね、彼氏のいるアカネちゃんやカナエちゃんが、「ムカつく女」だったらどれだけよかったかと思うけれど。

これがまぁ、結構いい子なんですよ。

率先して、学級委員とかやっちゃうし、部活では部長とか副部長やってるし、みんなに頼られるリーダー的な存在。

しかも、「ちょっと男子ィ〜〜!!ちゃんと歌って!」みたいな風に、まるで「おかん」や「先生」のようにはならない。

みんなと対等な位置にいる。

優しかったり、明るかったり、活発だったり・・・

ま、まぶしい。

それに比べてわたしときたら、リーダーなんて任されたことないし、だれもわたしのことなんぞ頼りにしてないのである。

この差・・・!


モテに学校の成績はそこまで関係ない

彼氏がいる女子は、顔がかわいくて、制服を着こなし、スポーツができて、

さて学校の成績はどうだったかというと

「頭の良さは、別に関係ない」というのが私の持論です。

頭が良かろうと悪かろうと、どっちでもいいんですよね。モテには。

ちなみに私は、勉強、そこまで苦手じゃなかったです。でも彼氏がいない。

そう、頭じゃできないんです。恋愛は。

本能でやるものだから、成績は関係ない!


学校では、野生で生き残れる奴がモテる

わたしは、ひとつの仮説を立てました。

学校での女子の「モテ」は、ほとんどそのまま「原始人」にも当てはまっていたのではないかと。

つまり、昔のムラ社会で生き残れそうな女ほど、学校では「モテる」のである。


(大人になると、またちょっと違ってくるんですけどね!)

だから、顔が可愛くて、制服を着こなせるほどスタイルがよくて、スポーツができて、性格がよければ・・・!

たぶん、ゲームでいう「告白イベント」を起こせるのではないかと思いました。


いまさら自分を変えるなんてダサいことはしたくねえ

しかし、まぁ、仮説をたてておいてアレですが、

「いまさら、そんな人間には・・・なれない

と思いました。

つーか、自分をそこまで変えてまで、モテる必要あるか?と。
無理して性格を変えるほうが、ダサい・・・と思ってしまった。
(中2らしい発想ですね!)

しかしね…

ふふふ、こんなぐうたらな人間にも「モテる」秘儀があることを、わたしは、はるか15年前…インターネットの海で知ったのです。


フェロモン香水を買ったぞ!これで明日からモテる!

はい。

ネットでポチってしまいました。

「フェロモン香水」の出番です。

(1万円くらいした)

「え、詐欺でしょw」と思った皆さん。

ちがうんです!!!!!!

この香水をつけたTシャツと、そうでないTシャツ、「どっちを選びますか?」っていうテストで

み〜〜〜〜〜〜〜んな、この香水がついてるほうを選んだんですって!

すごいでしょ?

しかも、宣伝の漫画では・・・、フェロモン香水をつけた女子が、イケメンの先輩に告白されたんだって!すごいねえ!!!

つまりね、このチートアイテム「フェロモン香水」を使えば、明日から、私はモテてモテてモテまくる無双状態になるわけです。

きっと、「本能」を刺激するから、もう理性とかどうでもよくなるわけですね。

つまり、「かわいい」とか「スポーツできる」「性格がいい」とか、そういうのおいといて、たぶん、私の方がモテちゃうわけですよ。

すごくない?すごくない?すごくない?

こんなスゴイアイテム、明日から試すべきでしょ〜〜〜?


ルンルンで学校につけて行ったよ、フェロモン香水

フェロモン香水を朝からシュッとつけて、学校に行きました。

ちなみに、この香水は無香料です。

「香水をつけているのはバレない」ので、校則にも違反していません。

というかたぶん、フェロモン香水のおかげで、みんなわたしのこと好きになってるから、なにがあっても、たぶん大丈夫なんだと思いました。


学校につくと「おはよ〜」「おはよ〜〜」とみんなが挨拶しています。

「おはよ〜」とわたしもいうと「おはよ〜」と返してくれます。あ、これはふつうだった。


キンコンカンコーン。

1限が始まりました。

キンコンカンコーン。

2限が始まりました。

・・・・

6限が終わりました。


アレ?アレ?アレレ??

・・・おかしい、なんも起きねえ・・・


待てど暮らせど、だれも告白してこない。それどころか、話しかけてもこない!

みんな私のこと「好き〜〜〜〜!」って、駆け寄ってくるんじゃないの?おかしいなあ?


帰り道、そこで出会ったのは

(フェロモン香水も意味ないし・・・宣伝のマンガに騙されちゃったなぁ)

と思いながらも、

「よく考えたらそんな簡単にモテるわけないなw」
「また次の作戦を考えようw」と、意外と前向きだった。

たぶん次は、モテるお守りとか、めっちゃいいことばかり起こる水晶とかを買おうとしてたような気がします。

わたしは他力本願なことばかりを考えながら、ひとりで歩いて帰っていました。


私の家の近くは、田舎なので、車も人も、めったに通りません。

それなのに・・・

道の真ん中に、車がぽつりと停まっていました。

そして、その横には、すらりとした背の高い男性が立っていました。

「あの・・・」

と、男の人が声をかけてきました。

20代か30代か分からなかったけれど、その当時、わたしはその年代の男性と話をしたことがなかったので、びっくりしました。

顔を見ると、色白で、めがねをかけていて、やさしそうな人でした。

そんな人が、話しかけてきたんです。

フェロモン香水をつけた私に。


「あの…、ちょっと、お願いがあるんです」

「は、はぁ」

「僕の友人に、入院してる人がいて」

「はぁ…」

「君ぐらいの歳の子のオシッコを飲まないと、死んでしまう病気にかかっているんです」

「えっ!?」

「僕は友人を死なせたくない!協力してくれませんか?」

…と言われました。


まぁね、普通は、「んな病気あるわけないやろ」と気づくんだけど、お兄さんの差し迫った顔にビックリしてしまったんですよね。

そして、一瞬、自分の尿意を確かめた。

うーん、オシッコ出ない。びっくりして出せない。出すとしても一体どこで出すんだ?

「ごめんなさい、オシッコでません」

と、丁重に断り、その場から早歩きで家に帰った。

別にその男性は追いかけてもこなかったけれど、こわくて振り返ることができなかった。

(わたしのせいで、あのお兄さんの友達、死んじゃうかもしれないな)と一瞬思ったけれど、そんな病気、たぶん作り話…ですよね?

✳︎✳︎✳︎

とんでもないものを買ってしまったかもしれない

あのお兄さんは何だったんだろう…。

家で落ち着いて、今日の出来事をふりかえると

「あれ…さっきの変な男の人が話しかけてきたの…

 もしや、フェロモン香水のおかげじゃ…!???

「とんでもないものを…買ってしまった!」

と、思った。

モテるのはうれしいけど、不審者を引き寄せてしまう香水なんて、怖いですよね!?

その日以来、「変な奴にモテてもしかたないんだなぁ…」ということを知った。

フェロモン香水は、「だれにモテるか」は選べないのである。これは困った。

このままフェロモン香水を使い続けても、たぶんロクな事にならない。

結局、フェロモン香水は押し入れの奥深くにしまって、二度と使われることはなかった。

むろん、この事件がフェロモン香水のせいなのかどうかは、今となっては分からないし、知るすべもない。

フェロモンがなくても友達ができたよ

その後、わたしはどうなったかというと…

後日この「オシッコ兄さん事件」を、クラスの女子たちに話したら、めっちゃウケた。

だってふつうに考えたら「オシッコがないと死ぬ病気」って、面白すぎるじゃんね。

(もちろん、フェロモン香水のことは内緒)

このキャッチーすぎるネタを武器に、スクールカースト上位の女子たちと仲良くなり、ついでに男子たちとも仲良くできるようになり…。

意外と楽しい中学校生活を送ることができた。

だって、「オシッコがないと死ぬ」事件のほうが、クラスのアカネちゃんとタカシくんがキスした話より、おもしろいし。
だれも嫉妬しないから敵もつくらないし、最高!

というか、なんだかんだ皆きっと、下ネタが好きなんだと思った。

✳︎✳︎✳︎

ちなみに、そのオシッコ兄さんは、警察に捕まった。

しかし、オシッコについて話しかけただけで、なにもしていないから、そこまでの罪には問われなかったようです。
ちゃんと反省しているといいのですが。


おしまい。

育児グッズを買ったり、映画や書籍代に使わせていただきます!noteに書くネタ代にさせてください!