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僕のヒーローアカデミア
高校生の時に部活でライバルがいた。
相手は全く私のことをそう思っていなかったかもしれないけれど、死ぬほど意識していた。
そして私は性格が悪かった。
高校生の年頃には誰にも経験のある性格の歪みかもしれないが、「本気でないことがかっこいい」「注目を集めたいけれど注目されすぎると照れる」「本当に実力を知るのが怖い」という自分のことを知りたいのか知りたくないのか自分自身が1番よくわかっていなかった。
そのライバルは呆れるくらい真っ直ぐだった。
少なくとも屈折した性格を自覚していた私にはクリスタルのように透明で不純物のない真っ直ぐな存在に見えていた。
誰よりも練習中に声を出し、本気のプレーをし、批判やアドバイスには真摯に耳を傾け、国体選手に選ばれ、チームを優勝に導き、褒められたら素直に賞賛を受け止めていた。
高校生の時代にその経歴は眩しすぎてまともに見れなかったし、当然のように国体選手から外れた私は、自分からその話題を出さなかった。
大学に進む前になってやっと、本当にやっと自分と向き合う準備が整ってきたことを自覚した私は、ライバルに一対一の勝負を懇願した。
十五分間、攻守を交代し続け、最終的に得点の多いものが勝ち。
自分でもびっくりするくらい「勝ち」「負け」がはっきりするやり方で挑んだ。
ボッコボコに負けた。
目の前にすると消えるように感じるその切り返し。
ボールを扱う時のタッチから選択肢を多く想像させ守備を遅らせるそのテクニック。
身体を当てていっても軸がぶれないその体幹の強さ。
全てが自分よりも数枚上手である事を目と身体で嫌というほど思い知らされた私はその15分間の間、もはや清々しすぎて笑っていた。
40を迎えつつある今でもあの切れ味と、敗北の気持ちよさを思い出す。
この映画でふとその感情を思い出した。