中国でNFTが大暴落。80%暴落した経緯と今後予想されること
今年に入って「中国のNFTどうなの?中国でのWeb3どうですか?」とたくさんの人から聞かれてるんですが、正直中国ではブームではなく、むしろ懐疑的ですよと回答してきました。以前noteでも書きました↓
そんなNFTですが、先週いくつかの取引所で大暴落しました。今まで話題になることはそんなになかったのに、暴落によりついにトレンドに入るほど注目されているというのは皮肉なものです。
SNS上では、
・インターネット金融界における最大の悲劇
・非常にひどい負け
・血を吐いて入院するほど損をした
・会社の資金を上司に横領されてNFTに投機し破産した
など見てるだけで辛くなりそうな表現が並んでいます。
いろいろな経緯を言われていますが、今回の悲劇の発端は中国国内の取引プラットフォーム「iBox」。
iBoxプラットフォームでは特に、三国志大将軍シリーズ、西遊記四天王シリーズなどが大人気で取引されていました。
ただなんでiBoxが注目されていたかといえば、セカンダリー(二次流通)が可能だったこと。冒頭にリンクがあるnoteでも紹介したように、中国では基本的にはセカンダリー取引はグレーで、テンセントやアリババのような大手の運営する取引所ではセカンダリー取引はできません。
↑中国以上に三国志人気な日本でも三国志キャラのデジタルアートって流行りそうな気もする
「iBox」プラットフォームは今年の4月に登場したばかりだったのですが一気にユーザーが参入。5月1日から5月9日まで、このプラットフォームのコレクションは倍々で価格が高騰していて、50元が翌日には400元で売れる事態となっていました。あまりに儲かるので若者や大学生はもちろん、個人投資家も多数乗り込んできていました。
それが5月15日に突如暴落。軒並み8割以上下落しました↓
高値で買ってしまったらこの暴落で相当な損失を出したでしょう。暴落して損をしたのはユーザーの自己責任ですが、ヘイトをためたユーザーからのiBoxへの嫌がらせも大量発生。また、多額のローンを借りた学生が自殺を図ったなどの噂も流布され、iBox側も対応に追われています。
また、この暴落が他にも波及。さまざまなNFT取引所に混乱を起こしていて、例えばプラットフォーム「TT数藏」はiBoxへの出資が原因で多額の損失を出し破綻。運営継続できなくなり、社員は解雇され、サービスも見れなくなる事態となりネット民も注目して炎上してます。
↑公式な通知ですが、「有缘再会(またね、みなさん)」って。コミットしてたら殺意わきそうです。
なぜこんなに値上がりしてからすぐに暴落したかの根本は、最初から詐欺ではないかと思っているユーザーが多いこともあります。
以前のnoteにも書いたように、NFTアートに熱心しているのは90年代生まれやZ世代の人が多いです。彼らに比べ、よりネット歴の長い80年代生まれは相対的に腰が重いのもありますが、今までにすでにP2P金融などのオンライン金融詐欺を経験していて、注目している人たちの間でも行動は大きく二分化されています。
一つは、新しい技術によって生まれた次世代のものと興味をもちつつも、まずは様子を見ようという人。もう一つは、この手のものは早いもの勝ちだと思い素早く入場し、タイミングよく逃げるという人。もちろん逃げ遅れ組もいるでしょうが、儲かる人もたくさんいるわけです。
また、借金までしてNFTアートを買った人達には、あまり同情できないとの声も多々ありました。損した方々には元々機会主義者が多く、ギャンブル感覚でこの波に乗ったらファイナンシャルフリーダムが実現できるのではないかという投資者が多かったこと。
もちろん暴騰暴落で損した人には悲劇ですが、iBoxのプラットフォームはハッピーです。iBoxの取引手数料は一回5%。iBoxにとっては上がるか下がるかは重要ではなく、取引がたくさん行われることにコミットすれば良いのです。結局、よく中国のアンチ詐欺の公益広告で聞かれたセリフの「君が収益狙いだが、向こうは君の元金を狙ってるぞ」状態ですね。
先日、復旦大学のネット事情に詳しい教授先生ともNFTについて色々議論しました。その内容は、ビットコインの流れから見れば、NFTがメタバースのインフラでもなんでもいいが、いくら大手が事業参入しても、中国の場合は政府主導じゃなければコンプライアンス的に遅かれ早かれ問題が生じる。各社とも技術的な遅れをとらないように頑張りながら、事業としては様子を見るのが一番だとの見解でした。
個人的にはかなり同意見ですが、先行者として色々チャレンジする人がたくさんいる中国ではまだまだチャンスを伺っている人たちもたくさんいるでしょう。また、グレーだったセカンダリーでこんな炎上を起こしてしまったことを政府関係の方々も注視しています。すでにいくつかの通知もありましたし、今後制度が整えられていくのは確実で、海外に活路を見出すプラットフォームやユーザーもたくさん増えると予想されます。
(参考資料)
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