♯2 耳管開放症という障害。

1994年

世間はゲームが流行り、盛り上がり。
一方で政界も目まぐるしく変わっていった中で有名なのは松本サリン事件。
まだ生まれていなかった子達でも一度は耳にしたことがあるであろう大事件の最中に私は産まれた。

産まれた時に何らかの疾患を抱えていたわけでもない。
体重も所謂平均、アレルギーもない。
強いて言うなら泣き声が異様にうるさい子で院内で有名だったって話を聞いたことがあるくらい。
けれども生後数ヶ月を過ぎた頃から三日に一回は熱を出し、いつも鼻水まみれ。
母乳はよく飲むのに離乳食は全部出してしまう。
食も細い、成長曲線は何だかんだギリギリ。
ここまでの話はもちろん覚えているわけがない。
全部聞いた話だ。

子を持つ親なら分かるだろう子供のありがちな病気を。
体が弱い子だったなら分かるだろう中耳炎の痛みを。
当たり前に子供は風邪をひく。
当たり前に中耳炎になる。
でも大人になると当たり前に治る。
それが普通、普通。

みんながかかる病気。
みんなが治る病気。

大人になってから中耳炎を患った人はどのくらいいるだろうか。
どうやら大人の方が強い痛みを訴えるケースが多いらしい。
懐かしい痛みで感傷に浸る間も無く崩れる生活リズム、聞こえの不快感、休めない環境下での発熱、急ピッチで上がっていくのを感じるストレス。


大人になってからでもあれだけ痛いんだものそりゃ子供は泣くよなんて医者がケタケタと笑った。


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