ズバリ、AmplitudeとContentsquareのどちらから検討すべきか?
以前、「プロダクトアナリティクスとデジタル体験分析の両方を導入するべきなのか?」で今から利用するならどちらかでいいんじゃないかという話をしました。
初めてAmplitudeやContentsquareを知った方や、検討する時間も工数も予算も限られている中で、効率的に評価したい方も多いかと思います。
実際に両方のベンダーの経験から、今回は特に違う点を紹介しながら使い分けについてご紹介させて頂きます。
最初に、AmplitudeとContentsquareの違いの図をご覧ください。
それぞれについて説明します。
・事前のイベント設計:
行動分析ツールの場合、取り扱う行動データが肝になります。
Amplitudeの場合は、事前にイベントという形で行動データを定義し、それを取得する事前準備が必要になります。
一方でContentsquareは独自のウェブタグまたはSDKが行動データを自動で取得します。
Contentsquareは準備が楽というところがメリットですが、分析データはContentsquareの仕組みを実装する必要があります。本番環境に手を入れるのが大変という方はご注意ください。
Amplitudeはイベント設計に手間が掛かる点は注意が必要なのですが、既に顧客データやPOSデータをDWH/CDPなどを持っている場合、そのデータも取り込むことができます。本番環境に変更を加えなくて済むのでこの方法も多くのお客様で実装されています。
・クロスプラットフォーム分析
クロスプラットフォーム分析とは、ウェブサイト、モバイルアプリ、店舗での購入をまたがった分析です。
例えば、ある人は公式のウェブサイトを訪問し、モバイルアプリからクーポンを入手して店舗で購入したというような行動です。
クロスプラットフォーム分析については、Amplitudeは可能です。オンラインとオフラインの両方にまたがったユーザー行動を知りたい方は多いと思います。
Contentsquareはウェブサイト内での行動、モバイルアプリ内での行動は独立した扱いとなります。ユーザーセッション(アクセスしてから離れるまでの一連の行動)に特化した分析です。
・データの保管期間
データの保管期間とは、文字通り保存したデータをいつまで保管しておくか、です。
Amplitudeは保存されたデータを原則削除しません。利用していくことでデータは蓄積されていき、長期間の顧客行動やLTVを分析することができます。(※ 1)
Contentsquareはデータの種類とオプションライセンスによって変わりますが、保管期間の制限があります。最も一般的な環境では、ユーザー行動データの保管期限は3ヶ月です。(※ 2)
LTVや長期的なユーザーエンゲージメントを分析するのはAmplitudeが優れています。
Contentsquareは分析できる期間が限られていますがより深く分析をすることに長けているということも言えます。もし、長期的な分析をするためにはデータを外部に保存する仕組みを別途準備したり、分析結果をPNG/PDFにエクスポートして残したりするなどを検討する必要があります。
本題
どちらが合っているかは読者の方の環境によって変わるのですが、2つほど例を交えてご紹介します。
1. ECサイトの売上向上
ECのようなWebサイトまたはモバイルアプリでビジネスをしている
1回の購入で終わらずに、定期的な訪問を増やしたり購入金額を上げるなどの売上向上を目指したい
GA/AAなどのウェブ解析はやっているが、他の仕組みは特に利用しておらず施策は属人的に考えている(キャンペーンやクーポン、広告などのマーケティング戦略が中心となっている)
この場合、おすすめはAmplitudeです。
単体のコンバージョンだけでなくLTVやエンゲージメントを高めるような施策で活躍できます。(※ 3)
2. 金融機関の新規獲得
金融機関(銀行、証券、クレジットカード)の新規顧客獲得サイト
広告や有料検索からLPに誘致した見込み客をより多く登録完了に促したい
獲得後のフォローや顧客満足も重要ではあるが、業務としては分かれており連続性がない
この場合、おすすめはContentsquareです。
コストを掛けて獲得したオウンドメディアに着地させたユーザーのコンバージョン率を上げるため、そのセッションの深い分析が重要になります。
まとめ
今回は主要な機能を含めてAmplitudeとContentsquareの得意なケースを紹介させて頂きました。
実際には読者の方の環境や現在の取り組みの優先順位によっても変わります。
具体的にこういうケースは?というものがありましたらコメントください。個別でもアドバイスもできるかもしれません。
補足
※ 1:CDPやDWHに過去数年分のデータがある場合、Amplitudeにまとめて投入することで時間経過を待たなくても時系列で分析することも可能です
※ 2:Contentsqareの保管期間は最大でも13ヶ月です。無期限にすることはできません。
※ 3:ECサイト+店舗の場合、差を広げてAmplitudeです。
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