『そうか、もう君はいないのか』 華が逝ってまもなく、ふとこのタイトルを思い出した。 『そうか、もう君はいないのか』は城山三郎の手記。でも、本は読んでいなかったと思う(あとから読んだ)。タイトルを知っていたのは、田村正和が城山三郎役を演じたドラマを見たから、だと思う。でも「思う」と書いたとおり、田村正和が主役だったことと、亡妻をしのぶドラマだったんだろうというくらいで、内容は記憶にない。 それでも、このタイトルを思い出したということは、『そうか、もう君はいないのか』という言
華がいない生活に慣れることなんてないと思っていた。 でも、時は残酷なのかやさしいのか、少しずつ少しずつ華がいないことに 慣れはじめている。 華が逝ってしまった直後は、姿は見えないけれど、華はまちがいなく家にいた。だから、本当は華がいないことが不思議でたまらなかった。 前夜まで、というか、あの日の早朝までは元気だったのに急に逝ってしまったから信じられなかったんだと思う。 朝、目を覚ませば、華の居場所を確認したし(踏んづけたら怒られるからね)、出かけるまえは華のためにエアコンと