【ショートショート】クリスマスカラス#毎週ショートショートnote
「今日、クリスマスらしいぜ」
「お、そうか。じゃあ明日はごちそうだな」
ねぐらに帰ってきたおじさん達がウキウキと話している。
「ねえ、お母さん。クリスマスって何?」
ぼくは隣で羽根を休める母に声をかける。母はぼくの体についていたゴミをくちばしで払う。
「ヒトのお祭りよ。クリスマスの夜には皆で骨付きの鶏肉とケーキを食べるの。さあ、早く寝なさい。明日はみんな朝が早いわよ」
「今日は特にひどいな。ここもカラスにやられてる」
収集業者がぼやきながら団地内を回る。袋を回収したゴミ置き場には、こぼれたゴミが散乱している。
周囲を気にしながら降りてきたカラスが残ったゴミをついばむ。だがよく見るとプラスチックばかりで、あまり食べ物はなさそうだ。
「ねえカラスさん。こっちにおいでよ。一緒にケーキ食べよ」
私は声をかけ、向かいの公園のベンチの端に座る。
もう片方の端に、彼に渡すはずだったチーズケーキを置く。涙は溢れるままに、私の分を手掴みで頬張った。
(410字)
前回に引き続き、たらはかに(田原にか)様の企画に乗っかっています。
今回のテーマは「クリスマス」「カラス」。
うーん。イマイチ想像力が足りず……。
皆様のを読んで勉強します。
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