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【連載小説】Ep15:この街一番のツリーの下で
(読了目安1分/約450字)
Sun, December 22, 4:00 p.m.
Side Tsubasa Mukai
大きなクリスマスツリーを見上げることなく、さりげなく周囲を見回す。日曜日だからか人も多く、僕が一人歩いていても不審がられる様子はない。ホテルの人は前に来た時より多い気がする。でも警察っぽい人はいない。
結局、ツリーは片付けられなかった。ただの脅しだと思われたのだ。それがとても腹立たしい。イライラを出さないようにロビーを歩く。ツリーの手前には金色の棒とその間に赤いロープがされていて、ツリーのそばには近づけないようになっている。僕はツリーを見るふりをしながら周囲の様子をうかがう。
誰もこちらを見ていない隙にそっと中へ入ると、ツリーの下にある飾りのプレゼントの中に、もうひとつリボンをした紙袋を紛れ込ませた。
ツリーから離れて見てみるが違和感は無い。これまで何度もシミュレーションしてきた。完璧だった。火をつけるのは二十四日の午後。人が一番多い時間帯に決行する。
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