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【連載小説】Ep6:この街一番のツリーの下で
(読了目安1分/約400字)
Fri, December 13, 4:00 p.m.
Side Tsubasa Mukai
いつものメンバーといつもの場所で別れる。みんなの姿が見えなくなるのを確認すると、僕は反対方向へ歩き出した。できれば家からできるだけ遠い方がいい。だが帰るのが遅くなりすぎると家族から不審に思われるだろう。少し早歩きで来た道を引き返す。
脅迫文を作るなんて人生ではじめてだった。週刊誌の文字をひたすら目で追ったのもはじめてだった。丁寧に切り抜き一枚ずつ貼るときは手が震えていた。
たしか、この曲がった角にポストがあった。鞄から封筒を取り出す。何の変哲もない茶色の封筒。周囲に人がいないことを確認すると素早くポストへ放り込んだ。
今日は金曜日。来週には届くだろう。相手がどう動くか。もしも警察に連絡されたらどうなるのだろう。いや、そのときのことはそのときに考えよう。
自分の長く伸びた影から目を離し、駆け足で家へ帰った。
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