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【雑記/紹介/応援】ジワリと汗かく夏のミステリー。残夢#創作大賞感想
創作大賞の〆切が近づいてまいりました。大作が続々と完結していっていますよ。
で、寝苦しい夏の夜をもっと寝苦しくしてくれるイヤミスがこちらです。
豆島圭さんといえば、2年前にはじめて小説を書き公募に出したらいきなり一次予選を通過したという、我々を震撼させるエピソードの持ち主。文章だけでなくイラストやブックカバーや動画編集までもできちゃう何でも屋。近々小説家デビューは確定かと思いますが、その時にはオールプロデュースをされるかもしれません。
「逢いたくて、あなたに」
鳩巻署の巡査部長、堂森建佑(ケン)が傷害容疑で現行犯逮捕した近堂ひろ子は、そう供述するが、ケンに思い当たることがなく捜査は難航。
ゲイ風の同僚、離婚した妻、交際中の婦警など、ケンと周囲の価値観が露わになる中、女の父親を名乗る男が面会希望で署を訪れ、容疑者の女とケンとの繋がりが見えてくる。
時代は90年代に遡り、ケンの小学校では不可解な出来事が起きていた。突然人が変わってしまったようなクラスの女子に対しケンがとった行動は。
各地で多発している類似事件、女性警官の意味深な言葉、県警の隠蔽体質、近堂の真の動機とは。
今、日本で何が起きているのか。リアルな日常と闇を描く警察ミステリー。
あらすじも上手いな……。
マジメにあらすじを書くときって公募に出すときくらいしかないと思うが、これが難しい。自分の書いたものをいかに客観視できるかだと思う。
そして、それは本文でも感じます。一人称で進む本文は、登場人物の心情を描きつつも、客観的な立ち位置や背景がきちんと見えるようになっていて、非常にバランスが良く描かれている。
警察小説のスタイルをとり、通り魔、未解決事件、県警の隠蔽体質とよくあるモチーフに加えて、行き過ぎたウーマンリブが鮮やかにそこにある。思想はどこか伝染病のように波及して、心の奥底に潜伏し、きっかけを通じて表層に現れる。
受賞されたあかつきには、是非現在のアルテミスの深堀のうえ、続きを書いていただければと思います。一部の隠された謎は明らかになったのだけど、足りません。もうちょっとくれ。だいいち結局、これじゃ事件は解決してませんからね。解決してもらわないといつまでも「残夢」から抜け出せませんからね。
去年の受賞者さんの流れからすれば、受賞から発刊までに改稿する時間があるみたいですし、是非ともよろしくお願いします。
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