使いやすさと分かりやすさのデザイン:メッセージの伝え方 その1
事前確認するべきか、事後連絡で済ませるべきか
日常においてどのようなときに事前確認をしているかから考えてみましょう。例えば、仕事で上司の書類を自分でシュレッダーにかけるとき、当然事前に確認をとります。
もし、確認をとらずにシュレッダーにかけてしまった後、上司がその書類を探し始めたら大変です。もう取り返しがつきません。このように「取り返しがつかないこと」は事前確認が大切です。
取り返しがつかないことなら事前確認をする
スマートフォンに入っているアプリを削除しようとしたときや、ゴミ箱に入ってるメールを削除しようとしたとき、画面の中央で「本当に削除してよろしいですか?」と確認をされます。このように取り返しのつかない行動をユーザーが取ろうとしている際には、それをすぐに実行せずにユーザーに確認をとると親切です。ユーザーの操作ミスによっておこる致命的な失敗を回避しやすくなります。
その場でユーザーが取ろうとしてる行動に対して事前確認する表示のことをアラート(alert)と言います。アラートは注意や警告の場面でよく利用します。
あとから元に戻せることなら事後連絡をする
逆に重要ではないこと、後から変更が容易なことを、毎回事前に確認しているとお互い疲れてしまいます。終わったことを後でサラッと伝えておけばいいのです。その方が「気が利くな」と思われるかもしれませんし「それはちょっとまずいよ」と言われたら元に戻せばいいのです。
自分宛に送られてきたメールをゴミ箱に入れる操作には、事前確認の必要はありません。ゴミ箱に入れた後に表示される画面で「ゴミ箱に入りました」と伝えれば十分です。誤って操作したのであれば、ゴミ箱から元に戻すことができるから必要ないのです。このように「元に戻せること」は事後連絡がよいでしょう。
完了したことを後から画面下部または上部で表示する要素のことをスナックバー(snackbar)またはトースト(toast)と呼びます。事後連絡にはうってつけです。
大切なのは判断の基準
事前に確認をするべきか、後からさり気なく伝えるべきか、大切なのはどういう時にどっちにするかの判断の基準です。「取り返しがつかないこと」かどうかはわかりやすい判断基準ですが、他にも「売上が変わってしまいそうなこと」や「多くのユーザーに影響を与えそうなこと」などもあります。後から報告しておけばいいと思っていたものの「先に確認しろよ!」と叱られて「えーこれも確認必要なんですかー」なんて場面がよくあります。事前に認識がすりあってないからです。この軸は人や会社で変わることがよくあります。サービス設計も同様です。ユーザーがとる行動がサービスにおいてどれくらい大切なのか、しっかりと考えてメッセージ表示の判断基準を設計しましょう。
使いやすさと分かりやすさのデザインのまとめ
1. 「取り返しがつかないことか」「あとから元に戻せることか」などでメッセージ表示の判断基準を考える
2. 取り返しの付かない操作にはその行為が完了する前に「アラート」を出す
3. 重要ではない行為は後から「スナックバー」または「トースト」でそっと伝える
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