11. 覚悟を決めたけれど
これから入院することになる、K病院へ。まずは外来診察から。
こちらの整形外科には、一般の整形外科と、スポーツ外来があるため、待合スペースにいるのはご高齢者がほとんどですが、その中にかなり体格のいい男子学生が3~4人いたりして、なんだかとてもユニークな光景でした。
そんな中、未就学児はもちろん息子だけ。
待合スペースのモニターから流れる朝の情報番組を、ただひたすら見つめ続ける人々の雰囲気に馴染める訳もなく、「退屈だ」「おなかがすいた」などクレームしつづける息子。
予約時間から1時間ほどすぎて、ようやく名前が呼ばれました。
前のS病院から聞いていた先生は、今日は手術に入っているとのことで、別の先生による診察でした。
まず、首の様子を診察。どこまで曲げることができるのか、右向いて、左向いて。前、後ろ、左右に傾けてみて。
それから、前のS病院から引き継がれたCTスキャンの画像とにらめっこ。
そして、この先生がおっしゃったことに、私たちは驚きを隠せませんでした。
「うち(K病院)の○○先生が、S病院の先生と直接話して入院受入れると言ったようなんですが。。
うち(K病院)は確かに整形外科を得意としていますし、入院を受け入れることはできるのですが、小さいお子さん専用の牽引器具が無いので、大人用のもので代替することになります。
そうなると、果たして本当にうち(K病院)で受け入れることが、お子さんにとってベストなのかどうか。。
個人的には、子供用の器具を持っていて、子供の受け入れに慣れている病院で診てもらう方がベストだと思うんですよね。」
私たち夫婦:「え、子供の受け入れが可能と聞いていたんですが、違ったんですか?!」
先生:「受け入れること自体は可能ですが、特に小児用病棟というわけでもなくて、子供専用の器具も無いということですね。」
そんな。。。てっきり万全の対応をしてもらえる病院だと信じて来たのに。
先生:「せっかく来ていただいたんですが、お子さんの治療のことを考えると、もう少し検討した方が良いと思います。
一度、受入れを許可した担当医師や、その他専門家の医師に相談して、他の病院が良いということであれば、探して連絡します。」
なんと。。今日入院する覚悟で、かなり緊張して挑んだ診察でしたが、一気に気が抜けてしまいました。
この入院受け入れに関して、先生方は何を根拠に決定したのだろう。子供専用の器具を使うのがいいに決まってるんじゃないだろうか。そして息子の治療がまた延びてしまうことで、回復に影響が出たらどうするのだろうか。
最初は、ただただやるせない気持ちでした。が、しばらくすると、
「今日担当してくださった先生が、惰性で受け入れることなく誠実に対応してくれたおかげで、ベストの環境を選ぶことができるんだ。」
と、ありがたく思うようになりました。
もうこれ以上はたらい回しされたくないので、私たちは、夫婦で話し合ったこと(病院の条件)について、先生に直接伝えました。
何よりも、実績があること。治せる環境と先生がいること。そのためなら、多少遠くても問題ない。
そして、「回旋固定」について実績のある小児専門の医療センターを見つけていたので、例えばこういう所で探してほしいと伝えました。
その時、先生が「あ、こんなに距離があってもいいんですね。」という感じで、私たちの想いをちゃんと理解してくださった気がします。
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