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強くて優しい人たち

子どもたちが通っている、TIDE POOL。(強さとやさしさを育む自然学校 in 葉山)

高学年はニッパーボードで、コーチのところまで行って、グルっと回って砂浜に戻るという指示を聞くや否や、とある男子が目を輝かせながら「これは競争?(競争だよね!競争したい!)」とコーチに質問した。

するとコーチから返ってきたのは、
「競争したい人はして、したくない人はしなくていいよ。」だった。

YESかNOの答えを想定していた私は、あまりに自然に発されたその言葉に、一瞬少し驚いたのだけど、時間が経てば経つほど、なんだかじーんとしてきて、しまいには泣きそうになってしまった。なんて優しい言葉、優しい世界なんだろう。


よーい、どん!

競争したい子たちは、勢いよく海に駆け出し、激しく波しぶきをたてながら、進んでいく。

我が長男を含む、競争しない子たちは、それぞれの勢い、それぞれのタイミングで漕ぎ出していく。

競争を禁止するでもなく、強制するでもない。1人1人が在りたい形を尊重してくれて、お互いも尊重しあえる。

ここには、競争に参加しないヤツを勝手に見下すようなヤツもいないし、必死こいて一番になろうと頑張ってるヤツを、うすら笑いで見るヤツも1人もいない。

世界が、こんな風になったらいいなぁと、素直に思った。

そしてまた、
「競争してもいいし、しなくてもいい」
の言葉が、緩さや甘さ、適当さからくるものではなく、世界レベルで戦い続けるオーシャンアスリートから発せられたということにも、深みを感じた。

世界トップレベルの熾烈な競争の世界で、精神的にも肉体的にもギリギリの経験をしているからこそ、「競争は厳しいけど楽しいもの。だけど、競争だけがすべてじゃないんだよ」という両方を、子どもたちに教えてくれているのかな。と、勝手に想像した。

そしてその精神は、TIDE POOLにずっとあるものだと感じていて、どちらにも偏らない、どっちもアリなここの雰囲気が、私は好きなのだと思う。

今回は、強さと優しさを育てるところに、ちゃんと強くて優しい大人たちがいるということを改めて確認でき、安らぎと感動を覚えた。

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