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Gis 始まりのつづき

兵庫県宝塚市の小林駅から徒歩10分イノタウンと呼ばれる場所にGisはある。

始めてGisさんを訪れた際、その場所がまだ資材置き場だった頃から知っている私からすると、こうも素敵な店舗になるのかと驚いた。

イノタウンは他にも雑貨屋さんや本屋さん、カフェや美容院が100m内に集まる素敵な場所。その中で資材置き場は手付かずだった。これどうしようかなぁ?とオーナーさんが呟いていたのをよく覚えている。そこにできたのがGis。興味が湧かないわけがなかった。

中に入ってみると、異国に来たような、それでいて落ち着く店内。
キャンドルや香木の香りに視覚以外も虜に。
看板犬のChimuta に見つめられて店長のKazuhaさんとのお話の面白さも相まって、ついつい長居してしまうのです。


つくることの始まり


この仕事はずっとするつもりはないんです

そう語るKazuhaさん。Gisのお店が好きで通っている方が聞いたらビックリするような発言に私も同様の反応をしてしまう。決してお店を無くすというという話ではなかったのでご安心を。

「今までも2年おきにやっている事は変わってきました。でも一貫して伝えたいことは変わってないし、想いも言ってることも変わった事はないです。」

人を笑顔にしたい。幸せにしたい。それは小さい頃から今までずっと変わっていません。

小学生時代からその事を言ってきたというKazuhaさん。自分に似合う洋服に悩むお友達が居れば全力でお手伝い、皆を楽しませたいという想いが高まって漫画を描いて読んでもらっていた。
その漫画は大好評でもっと楽しませたいと週一連載。学校に寄贈して読んでもらえるようにもしたのだと。そして学校で行ったサイン会では漫画のファンに[Kazuha]とサインをしていたという。

とにかく人が笑顔になるのを見たかったし、それで楽しんでもらえるとこっちも楽しくて。

週一、学校に行くと新作(しかも自分達しか知らない漫画の)があるのだ。ワクワクする気持ちが手に取るように分かる。
中学生に上がると、服に興味を持ち、自分でつくり始める。そして、お友達の服もつくり始める。自然な流れだった。【人を笑顔に】核の部分が出来上がっていく。
高校に入るとそれが固まった。

人を幸せにするために生きよう

そうして経営を学ぶ学校への進学を決めた。

つくること


経営を学ぶ学校に入った理由は人を幸せにするために、自分で会社をつくる。
それを目標に学校へ通うが、その道がつながってるようには思えなくなってきた。卒業を迎えるにあたり、会社をつくる意味を考え、今はその道じゃないと答えを出した。

こうして次に選んだのがブライダルのお仕事。

直接的に誰かの幸せのために働くことができる環境でお仕事をしてみようと選んだ。
それは、見事に的中し、とても充実した時間を過ごしたと嬉しそうに話すKazuhaさん。

人を笑顔にできる天職のような場所であったブライダル。
今までのお話からも、アドバイスをして「もっと輝けるように」を小さい頃からやってきた流れがそこにも通じていた。
にもかかわらず、そのお仕事にも一旦区切りをつけた。

ブライダルに飽きたわけではなく、結婚という特別な日だけではなくて、日常の中にある幸せのためのお手伝いがしたいと考えたから。
そこで始めたのが、お花の教室。お花に触れて日常の中に楽しみを。

そういう思いで教室を始めて、やってきたのがコロナウィルスだった。

人の笑顔に敏感なKazuhaさんは、その時期を振り返って、「皆さんが明らかにその空気に疲れているし、気持ちが沈んでる闇っぽい空気でしたね」と語る。
さて、何かできないかと思案するが、答えは意外にも近くにあった。

「お花のレッスンをしていて、お花に触れて、そしてお話をする。それだけでまとってる空気が柔らかくなっていくのが分かるんです。」

そのお花を持ち帰って飾ったり、プレゼントしたり。
空気は伝染していく。
落ち込んだ気持ちか、幸せな気持ちかでそれは全く違う生き物になる。

こうして宝塚市のイノタウンに、今の拠点となるGis(地球という意味)をオープンさせることとなった。

始めはそこでもお花の教室をやるつもりで場所をつくったが、もっと家の中でも彩りがあれば、もっと笑顔が生まれる。と思い立ち、つくることに信念を持っていて、Gisの想いに賛同してくださる作家さんを自らの足で探してはお店で販売するスタイルになっていく。

素敵な作家さんのものを預からせていただいて、それを手にとった方が幸せになっていくのが嬉しい

笑顔で語られるそのストーリーには淀みがない。

実際にお店に立ち寄った方なら分かると思う。柔らかな空気で時間の流れが急に緩やかになっていく。

その空気は急造したものではなくて、長い時間をかけてつくられたものなんだとお話を聞いて改めて感じた。

Gisさんで一際目を引く商品がある。それが「地球のかけら」シリーズ。
これはKazuhaさん自身の手でつくられている。

何処かで生まれ、雨や風に晒されながら育ち、そしてだんだんと枯れていく。
そんな草花は自然の中で芸術的な美しさを持っているのに、その単体を認識するには日々はあまりにも忙しい。

でも「地球のかけら」と名付けられた花たちを見た時に、地球の目線で大切に生まれてきたかけがえのないものに見えてくる。
日常に気付きが与えられ、小さな花に思いを寄せる時、一旦足を留め、幸せとは何かを見つめ直すことができる。

地球に見つめられるひとりの人間として。

つくることのつづき


もっと日常が素敵なもので彩られて欲しいと語るKazuhaさん。

今は家庭の一部にGisの想いと同じ感覚でものづくりをしている方の作品があり、それによって家の中にも癒しと彩りを与えるお手伝いをしている。
今後はそのお手伝いをさらに広げて、家具や、お庭を育てることにも携わっていこうと考えていると言う。

Gisを通して暮らしをつくるお手伝いをしたいんです。
そう語るKazuhaさんの言葉には一切の迷いはない。

「どうなっていくんでしょうね?次のGisは?」という問いかけに対して、

「そうですねぇ。これから・・・これからどうなるか、自分でも楽しみです(笑)」

そう答えられたKazuhaさんは地球【Gis】という名付けられたお店を象徴するようにもっと大きな視点でご自身を見られているように感じた。

自然に委ねて。
大切な信念は持ったまま。

そんなKazuhaさんには目標があるという。

「最終ゴールは、自分自身が「幸せ」になること。
そうして好きなもの、好きな人に囲まれて生きていきたいんです。」

人を幸せにして最後は自分も幸せになる。その言葉の裏に優しさと力強さを感じた。
その姿を見ていたいですねと感想を言う私に、Kazuhaさんは
「私きっと100歳超えても生きますよ」と断言する。
「では、おそらく私は途中までしか見れません」と笑顔で冗談を言い合った。

その後、仕事に戻り、作業をこなして家に戻る。
椅子に座って一息ついて前に置いてある「地球のかけら」に目をやった。
この日の会話を思い出してまた暖かい気持ちになる。
これから先、この花を見てKazuhaさんの「人を笑顔にしたい、幸せにしたい」という言葉を思い出すこともあるだろうなと思える。細やかで小さな楽しみだけれども、この思い出もまた「地球のかけら」なのだろう。
Gisさんがつくる空気と作品には一つ一つを大切にする想いを教えられる。

instagram | @gis__is

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