新聞に、文芸評論家の三宅香帆氏の著作「娘が母を殺すには?」について、著者本人へのインタービュー記事が載っていた。私はこの本を読んでいないが、要旨は過干渉な母とその娘の密着度問題を扱っているようである。そしてそこから娘が解放されるにはどうすべきかが論じられているようである。その比喩的な結論が「娘が母を殺すには?」という印象的なタイトルである。 結論は母を物理的に殺すのではなく、娘自身の母からの自立を訴えているようである。そのためには第三者のいる世界を求めて他者と出会うことが重
(エッセイ「偏差値教育からアイデア教育へ」から続く) 中国の大学入試統一テストである高考(がうかう)がテレビで話題になっている。テレビで見ると一種のお祭り騒ぎみたいに見えるが、学生にとっては人生を決める一発勝負のようである。これは日本の大学入試によく似ている。インフルエンザの季節に一発勝負を求められる共通テストのようだ。 この状況をほくそえんで冷笑しているのはアメリカではないか。つまりこういう入試からは世界を引っ張っていくような創造的な人間は出てこないと。逆に柔らかい脳
「もうじきたべられるぼく」という本が、未来屋えほん大賞を受賞したという広告を新聞で見た。子牛の物語らしい。 私は昔から殺生問題を考えているが、これという納得できる解答はなかなか見つからない。 いろんな人にこの問題を尋ねるが、しっくりした回答はない。よくあるのが、感謝していただくというのがある。果たして動物たちは感謝されれば喜んで命を捧げてくれるのだろうか? ありえない。人間のエゴの論理だろう。金子みすゞの「大漁」という詩にもある。「朝焼け小焼けだ 大漁だ 大羽鰯(おお
LINEヤフーがもめている。問題は韓国の企業がLINEヤフーの根っこを抑えていて、セキュリティ上問題があるということだ。日本で開発したソフトではないので、これは当たり前だ。 メッセンジャーアプリの開発では韓国は実力がある。韓国で一番はやっているメッセンジャーアプリがカカオトークだ。2006年に開発されたソフトで、開発者はアイウィラボ(現・カカオ社)だ。これに遅れてサムスン社に元を持つネイバー社が開発したメッセンジャーアプリがネイバートークだ。韓国ではカカオトークに勝てず、日
最近の物理論では、宇宙はたくさん(あるいは無限に)あるというのが大勢らしい。多元宇宙(マルチバース)というのだそうだ。古くはエベレットの多世界解釈(分岐による並行宇宙)というのもあった。 私は昔から宇宙は無限にあると思っている。 それは私たちの3次元空間を考えればごく自然なことだ。3次元空間では縦、横、高さの3つの物理的尺度があり、私たちはそれらを認識できる空間で生きている。3次元空間には部分空間として2次元空間がある。縦と横の2つの尺度だけの世界だ。それは何かと言えば平
Googleマップに付随する口コミに対して、日本の医師らからGoogle社に文句が出ている。悪意のある口コミはもちろんいけないが、結論的に言うと犬の遠吠えだ。そういう巨大なプラットフォーマーの出現を許してしまったせいだ。 ここ30数年、ITのプラットフォーム技術を日本は出せていない。要は米国に負けたというわけだ。AndroidやiOSを引き上げられたらどうするのだろう。WindowsやOfficeを引き上げられたらどうするのだろう。欧州には危機感があるが、日本は能天気だ。旨
教育は国力の基幹である。教育は未来創造の基幹である。SDGs遂行のアイデアも教育次第だ。凡庸でないアイデアが出せるかどうかだ。 本論では日本の教育の改革を訴える。一言で言うと日本人はアイデアが出せない。日本は長らく加工貿易の国だったので最初のアイデアを出す必要はなかった。だれかのアイデアをもとにより良い製品を出せばよかった。このやりかたで日本は1980年代末に世界の頂点にたった。1989年の世界時価総額ランキングで日本の企業はベスト10に7社入っている。ところが2019年