魚は家族か、食材か。
一番好きな生き物は、淡水に棲む熱帯魚の「ベタ」だ。
そしてこちらが、一番最後に暮らしていたベタ・「べーたちゃん(♂)」。
自分の名前は彼に貰った。
色彩もヒレの開きも完璧なハーフムーンベタ。
行き付けのアクアリウムショップで、800円位で売られていた。
最初は小さくてヒレもシンプルだったが、こんなに立派に。
魚類にしては珍しい、小動物のような黒い瞳がチャームポイント。
名前を呼べば、水槽の奥からぱたぱたと全力で泳いでこちらに来てくれる。
ご飯は手から食べてくれる。
色んなものを見せるとフレアリングしてくれる。
もはや犬猫と同等。災害時は一緒に避難所に避難した。
別れは数年暮らしたある日の朝。
前日少し様子がおかしかった事には気付いていたが、電池が切れたように停止していた。
ベタと家族になる前の自分は、改良メダカガチ勢(青くて透明鱗で粉ラメの入ったメダカが欲しくて、品種改良をしていた)ではあったが、魚と言ったら釣って遊んだり、食べたりするものと言う認識。
マスのつかみ取りが大好きだった。
メダカも、家族と言うよりは実験対象のような。
しかしベタと暮らすようになって、見方が変わった。
シラスがメダカの稚魚の死体の山に見える。
鮎の塩焼きが、串刺し&火あぶり刑に処された死体に見える。
活き造りが、さらし首に見える。
それを見て「美味しそー!」と歓喜する芸能人共が、狂気の沙汰にしか見えない。
もしそれが犬猫だったら、絶対モザイクが掛かっているだろう。
そもそも放送できない。
思えば唐揚げだって鶏の死体だし、ビーフステーキだって牛の死体だし、ポークソテーだって豚の死体だ。
みんな死体だ。
なのに何故、魚は扱いが違うんだ。水族館ロケ以外ではほぼ食材としか見られていない(水族館ロケでも、普段食用にされる魚を見て食欲を口にする奴はいるが)。
だからと言って、自分は魚を一切食べないと言う事は無い。
人間が食べる為に奪われた命が犬死にになってしまうから、出されたら食べる。
世の中のおおまかな認識としては、
観賞魚→ペット
観賞魚以外→食材
かと思っているのだが、食材として扱われる魚をペットにする人がいる。
逆に観賞魚を食べてしまう人もいる。
観賞魚とそうでない魚・家族と食材。
魚とは、実に不条理で理不尽で世知辛い立ち位置にいる生き物だ。
余談だが、こちらは歴代No.1の天使ちゃん(♀)。鯉ベタ。
SNSに投稿したら、こんな可愛い魚が世にいるなんて!とバズらないかとたまに思ってしまう。
魚は人気が無いのだろうか。
ガチ魚姿の人気キャラクターと言うものが、ほぼ思い当たらない。
魚好きとしては寂しい。
なお、この写真のフィルターはスポンジフィルターだが、自分は底面フィルターを推している。