短歌18「食べる」
もぐもぐと無心の君は可愛らし お隣の音幸せな喧嘩
アスパラの甘く苦い味目が覚めた 今年始まる春の結晶
君くれたキャンディひとつカラコロと月の裏側見えないものだ
たこやきをずっと転がし二人ともマスター目指す串先鋭く
君の指泣きながら齧り この夜は月の差し込む車で別れ
パトカーの音で目覚める淡い夢 無人の食卓固い靴跡
叫びは嘆きはどこに行くのだろうどこか行き着くことができたら
海底に棲むクラーケン恋をして艦隊ひとつ手土産にした
学校に行く朝パン買いに行った店もうないないけど覚えている
クッキーの粉ほろってくれ君の手が父のに見えて木陰の子供
恋をした美しい君画面の中 風呂の回数不毛に増える
指繋いで眠り起こされハンバーグの夢見てたと寝言でばれる
眠剤の不味さと頓服の甘さ ラインで繋がれないぼくたち
眠ってて星の速度を髪に受け桃の匂いに頬擦りをする
幸福の穴埋めるごと食べ続け 母さん羊の目は四角い
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