短歌51「目」
まだ暑くない土地に住むあなたの目しっかり夏とらえている
後の世に伝説になる綺羅星にありえないもの義経の首
煙吹く車に顔を埋める男ひどく愛しているように見え
過去の糸足首を引くきつくきつく 蹴散らして前きっと見つめる
大きな目から涙落ち真珠のごと止めるすべなし自動人形
海見てる 波が呼んだら耳の中風でいっぱい小さな嵐
とろりとした牡蠣の歯ごたえクリーミーさ小さい海がここにあった
カラオケで耳がやられて歌えずに若者の街雨で敗走
目に睫毛刺さる日もある 更衣室制汗剤の匂いが混ざる
額の白髪を抜いた痛いけど わたしあなたにまだいてほしい
欲しい本必ず置いてある本屋 欲しくなるから今日はスルーす
閉じてゆく体引きずり重たくて抱きしめるけどわたし崩れる
特に何もない今日に花丸つけてカレンダー見る五月の終わり
死にたいと言う度どこかで死ぬネズミ 雪の運河に氷の蝋燭
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