短歌6(1/21~1/24)
インク減る薄ら寒い喜びよ法に触れずに満たす喜び
飴玉のように転がすころしたい葉脈だけが残った道路
海苔巻きの海苔に巻かれて会いに行くクレオパトラの如き登場
リンゴやる犬もないのに大振りの紅玉もらう犬にやりたい
君に塗る青いペンキは海になる溶けたい僕を蜂が邪魔する
雪の中太鼓の鳴る神社の階段わたしのじゃない男と登る
闇を行くあなたの顔が美しくよだかの声でグラスも割れる
クマつぶれカエル飛びかいリンゴ投げ君の怒りが星を滅ぼす
冬眠の仕方忘れてうろうろとさまようだけのぼく穴持たず
子守唄のように雪降って止んだ歯科の窓からまた来週
爪磨く 磨くと映る明日の空いい日になれと小さく必死
隠し玉があると思わせたいペンギンの足のごとくしまうふり
腫れる脳暑さにやられ陽炎のバンド名ならビニールヘッド
春すぎて怪獣じみた声で鳴く羽根逆立てるカラス憎らし
除雪なきサッポロ雪の山なりて雪の結晶ぼたぼたと降る
ときめきのボードレール悪の華君は丸めて読んでないまま
閉ざされた住宅街の夜まるでシャイニングの雪の迷路
手湿疹軟膏塗った手のかたちそのまま歳を数え始める
パフェ食べに君と行こうとメモを取るあるかどうかわからぬ機会を
8ミリのフィルム燃えるよう夕焼けものかなしけれサッポロのうた
地下鉄が地下から抜けるその時のわくわく子等に伝播していく
知りたい知りたくなかった知るまでは知らないでいてまだ知りたくない
送りすぎラインの音に埋もれたらごめんねここはさみしいところ
髪切った髪切ったのね地下鉄のホームで君に掴みかかられ
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