短歌10
ミミズクの鳴くゼビオにてマクド買い夜の渚に椅子を立たせる
目薬の白き口から赤き汁 果物の園寝転びていざ
はあ、には、はあで答える妖怪の東京五輪特製ランプ
激辛の焼きそばひとつ食べきれずひとつ地獄にひとつ落ちゆく
手のひらのレモンひとつも良く切れずナイフ明け方ゆうゆう出奔
看板にカフェオレ禁止赤ペンキ目覚めた後の注射の匂い
おかあさん無くしたものはないですか たまに黒目が烏のごとく
ひまでした付き合ってくれてありがとう夢でツクシがスギナに変わって
終の家探し求めて戸を叩く緑の藻たち画面を這って
女はいつも卵を抱いていない足裏の土ほろって泣くの
むずむずと文字が這い回って眠れぬ背中とんとんに甘えてもなお
名前なき鳥が存在しないよう森の切り株音無く割れて
朔(ついたち)の夜が明けてもまだ暗く切れるナイフを買ってきたから
鼻緒つげ直しても痛いのは罪のよう薄い足の甲なり
いざ行こう虹を助けに矢をつがえ少女の靴がひとつ転がり
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