詩13「カサブランカ」
雑然とした庭だった
百合が雑草のように咲いていた
ある日通ると百合の首は全部持ち去られてた
首を無くした百合の茎は真っ直ぐ伸びていた
その家にはおばあさんが一人住んでいた
夜中おばあさんがぱちんぱちんと切り落としたのか
花泥棒が楽しむには花だけすぎる
それからすぐ家は更地になった
布団の周りに百合を撒いて
その中で眠るおばあさんを思った
それは復讐のようだ
カサブランカを女王のように従えて
死にたいと思う時
大量の百合の頭を
大量の百合の胴体を思い出す
そして最後には更地になる
重機が入ってかき回し平らにされる
死んでいく球根
そこは雑然とした庭だった
百合ばかりが咲き乱れる楽園だった
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