ファーストウォートホッピング(FWH)のすすめ
ビールづくりにおいて重要な要素となるホップ。そしてこのホップの苦味、風味、香味を引出す方法として、大きく分けると以下のようになる。
煮込み時に投入し、煮込む時間によって苦味、風味、香味を引出す方法(Boil)
煮込み完了時に投入し、香味を引出す方法(Flameout)
発酵が一段落してから投入し、香味を引出す方法(Dry Hop)
スパージング時に投入し、複雑でまろやかな苦味、風味、香味を引出す方法(First Wort Hopping: FWH)
上記1~3の方法については、とてもポピュラーでよく使われる方法であるが、有効な方法なのに日本ではあまり馴染みのない4のファーストウォートホップ(FWH)について考えてみたい。
First Wort Hopping (FWH)は、最初(First)の麦汁(Wort)の段階でホップを漬け込む(Hopping)ことを言います。麦汁を煮沸する前からホップを入れておくことで、麦汁とホップが接触する時間を長く取ることができます。ホップのアロマオイルは不溶性であり、水に溶け込みづらい性質をもっており、さらに揮発性なので、煮沸すると揮発してしまいます。FWHでは、ホップと麦汁の接触する時間を長くとることでホップを酸化させ、アロマオイルを溶け込ませるテクニックです。
FWHをすることで、複雑でまろやかな苦味、風味、香味を引出すことが可能で、ブラインドテストなどでもFWHでつくったビールのほうが高評価であった事例もあるそう。
元々は、苦味をさらに促進させる方法として採用されていたようですが、近年ではまろやかでスムースな苦味、風味、香味のバランスを引き出す為に使われています。
ただし、FWHで投入したホップは、長時間煮込むことになるので、その分ビールが苦くなります(IBUが10%ほど上昇します)。その為、FWHで使用するホップは、α酸の値が低い種類のものを使うようにします。α酸値が高いホップでFWHをすると、シャープできつい苦味となる傾向がありますので、注意が必要です(敢えてそうしたい場合は別ですが)。
FWHで使用するホップの種類や分量は様々ですが、風味付けと香味付け用ホップの30%ほどをFWHで使用すると効果的です。色々と配合を変えて試してみるのも楽しそうです。人によっては香味付け用のホップのみをFWHで使用して特長を出す場合もあるようです。
もしまだFWHを試したことがない方は、是非トライしてみてください。いつもと違ったビールがつくれると思いますよ。