ワイドナショーでの笠松将さん(俳優)の発言 ~ 政治をタイパで語る
10/6放送の「ワイドナショー」で、
俳優の笠松将さん(31歳)が発言した内容について、
ネットニュース等で色々言われています。
その番組で、石破内閣の人事などを取り上げたニュースに、
笠松さんは、
「何か良くなったか、悪くなったかっていった時、良くなってないが何年も続いているわけですよね。もちろん良くなっているところもある。」
「じゃあ、(政治を)見てても見なくてもそうなるんだったら、他の事をやった方が、と思ってしまう」
と発言。
この発言に対して、非難の声、共感の声、両方あるようですが、
私は妙に納得しました。
これが、「タイパ重視」の考え方か!
と同時に、「彼は、とても合理的で強い人だなぁ」と思いました。
他力より自力。
政治なんてどうなっても、自分の腕で生きていくと。
ある意味、たくましい。
しかし、想像力が足りない・・・
そして、他人に優しくないぁ・・・
と思いました。
私が個人的に認識している「タイパ重視」の考え方は、
「今だけ」「自分だけ」
という価値観です。
今の自分の時間を、なるべく少なく掛けて、最も大きい幸せを得る。
そこには、「他人」や「社会」の存在や、
「未来の自分」の観点はないように思えます。
そこは、想像力が働かない、狭い、刹那的な世界に思えます。
政治は、社会の仕組みを変えていくものです。
特に、経済的に強くない人の救済の役割があります。
また、政治は、主に未来を対象としています。
そんな政治をタイパで判断するとどうなるでしょうか?
「自分に関係ないから、どうでもいい」
「将来のことなんてどうなるか分からないから、どうでもいい」
「そんなことに自分の時間を使いたくない」
そう、タイパで考えれば、
大抵の人にとって、政治なんてどうでもよくなるのです。
しかも、現代の日本の政治の仕組みである議会制民主主義は、
もの凄くタイパが悪いです。
時間を掛けて、政治家を判断して投票しても、
その人が当選しない場合もあります。
当選しても、その人の考え通りに簡単に社会は変わりません。
国の最高機関である国会では、
高給取りの国会議員が何百人も一同に会して、
あーだ、こーだと言ってから、議決を取りますが、
議決を取る前からその法案の可決はほぼ決まっています。
しかも、市町村議会、県議会まであって、
世界においても、日本の地方議員の数と報酬は突出しています。
(ここにはメスを入れるべき!!!)
彼からすれば、
「偉い人が一人で決めてしまった方が、税金かからなくてよくね?」
「そもそも、議会なんていらないんじゃん」
となるでしょう。
(今の日本の地方議会については、私も懐疑的ではある)
しかし、
そのことが、どんなリスクがあるか想像できないのか・・・
権力は必ず腐敗するという歴史を知らないのか・・・
もしかして、学校の勉強ですら、タイパ重視で、
「テストの点さえ取れればいい」
「歴史なんて、受験科目にないから勉強はいらない」
という考えだったかもしれません。
(そういう人は沢山いるかもしれませんが・・・)
だから、
政治をタイパで語る人に、「歴史や世界情勢を学べ」
と言っても、「タイパが悪いから嫌だ」
となるでしょう・・・。
彼が、どのような背景であのような発言をしたかは不明です。
でも、仮に、民主政治の限界のようなものを、
過去の歴史や世界情勢から知っていて、
それを憂いて、あの発言をしたとしても、
自分の発言による影響を考えずに、
政治なんてどうでもいいみたいな発言を公の場(含むSNS)でするのは、
「子供か?」
と思ってしまいます。
今回の彼の発言は、
社会に良い影響を与えるものではなかったと思いますが、
彼の率直な発言を契機に、
政治に関心を持とうという人が増えるのであれば、
結果オーライかもしれません。
番組で、彼は、「これから勉強します」
と言っていました。
勉強して、次回のワイドナショーに出演した際には、
「政治をタイパで語るのは良くなかった」と言って欲しいものです。