現金主義ですか?
こんばんは。
先ずは、現金派?それともキャッシュレス派?といった内容だと思われた方、誠に申し訳ございません。
本記事は、仕事上の会計に関する内容となります。
もし、現金主義とは何かが気になりましたら、お目通しいただけますと幸いです。いつか、仕事の役に立つかもしれませんので。
ということで、今日は、最初の会社が商社でよかったと思ったことを、経験をふまえてお話したいと思います。
率直に、経営に必要な会計知識を実務で身につけられたのが大きいと感じております。
知識だけでしたら、独学や銀行のような金融機関でも身につけられますが、できあがった数字(P/L, B/S)で判断する金融機関に対して、その数字をつくる側にいたということに価値があったかなとも思います。
1.計上と損益管理
商社では、新入社員の最初の業務が計上でした。ビジネスの基本である、売上、費用、収益、在庫を正しく管理することを習得するためです。
会社で定めた基準日(=発生日)に従って、発生日がわかる証憑を揃えて会計システムにインプット。これをひたすら繰り返して覚えました。
※貿易なので、仮に”本船出港日”を基準日とすると、輸入の場合は仕入日、輸出の場合は売上日となったりします。この基準日は、各社そして個々のビジネス条件で変わりますので、あくまで一例です。
また、仮受金、預り金、仮払金、未収入金といった諸勘定処理も、損益には直接影響しないものの事業運営において大切な業務であることも学びました。
損益管理においては、次のような構成をしっかり頭に入れておく必要があります。(経営者や財務担当でなければ、基本的には①売上~⑧経常利益まででOKだと思います。)
売上 ①
売上原価 ②
売上総利益(=粗利) ③=①-②
販売費及び一般管理費 ④
営業利益 ⑤=③-④
営業外収益 ⑥
営業外費用 ⑦
経常利益 ⑧=⑤+⑥-⑦
特別利益 ⑨
特別損失 ⑩
税金等調整前当期純利益 ⑪=⑧+⑨-⑩
法人税等 ⑫
当期純利益 ⑬=⑪-⑫
こちらでお分かりの通り、利益といってもいろいろな種類がありますが、肌感的に、この構成をきちんと理解できている人はあまり多くない気がします。
商社を離れてから、よく”純利”という言葉を耳にしますが、詳しく聞けば、人によって認識がばらばら(=おおまかに利益を指している)であるため、是非とも正しい知識を身につけ、お互いの認識に齟齬がないようにしていただきたいと思います。
2.発生主義と現金主義
みなさんはこの違いをお分かりでしょうか?
発生主義とは、上記1で新入社員時代の例をあげて述べたように、発生日ベース(取引が発生した時点)での会計処理です。
一方、現金主義とは、現金等の入出金日ベースでの会計処理です。
お小遣い帳のようなイメージです。
簡単な例で比較してみます。
・3月1日: iPhone を 50,000円で仕入
※仕入代金は 3月10日 に支払い
・3月8日: iPhone を 100,000円で販売
※販売代金は 4月30日 に入金
【3月のP/L上の収支】
発生主義: 50,000円の利益(同月内で売買発生)
現金主義: 50,000円の損失
※逆に4月は100,000円の利益
違いは明らかですよね。
本来、商品の価格が変わらなければ、利益率は毎月一定になるべきです。これが発生主義です。また、メリットとして、利益率に変動が見られた場合、計上に抜け漏れや間違いがあることがわかります。
これが、現金主義となると、上記の例の通りある月は▲50%、ある月は100%といったように振れが生じ、損益管理が非常に難しくなります。計上の正確性にも不安が残ります。
3.現金主義で痛い目にあった経験
商社では、発生主義と現金主義の違いについての研修があったわけではありません。先に述べたように、発生日ベースで計上すると教わり、それが当然のものと思って、のほほんと業務に従事していたわけです。
問題が発生したのは、インドネシアへ駐在してまもなくの頃です。
新車の生産開始に伴い、輸入ビジネスが急拡大しているタイミングでした。
インドネシア現地法人では、現金主義で会計処理を行っていたのです。
数百円~数万円の何十点もの自動車部品を、毎月数百個単位で納品するわけです。加えて、さまざまな国から輸入していますので、日本円→ルピア、USドル→ルピア、中国元→ルピア、ユーロ→ルピアと、為替が大きく影響します。利益が出てるのか、はたまた損失なのか、わけワカメ状態でした。
はい。結局、現地法人は大赤字、大炎上となりました、、、
こうした経験を得られるとは思っても見ないので幸か不幸かわかりませんが、実務のわかる駐在員は私一人でしたので。火の粉をばんばん浴びながら、水ぶっかけまくりましたよ。その後、日本やタイからも消化部隊がやってきまして、なんとか数ヶ月かけて鎮火させた重大な出来事でした。
いったい何が問題だったのか?
もちろん、現金主義がトリガーとなりましたが、やはり経営者の能力につきると思います。
当時の現地法人の社長は、親会社から出向・転籍された方でした。
超一流国立大学出身のエンジニアで、インドネシア語が堪能なとても頭のよい方です。
もちろん業種にもよりますが、頭がいいからといって経営がうまくいくとは限らないという良い例、そして会計知識の大切さについて間近で勉強させていただきました。
インドネシアは、もともと業務委託が中心のビジネスモデルだったため、現金主義でも問題なかったこと。そして「インドネシア法人は〇〇(社長の名前)王国」と言われるほどのワンマン経営であったことが全てだったと思います。
まぁ、現地法人立上げ時からずっとご尽力なさっていたので、きっと外部からあーだこーだ言われたくなかったのでしょうね。
ひとつ補足しておくと、この社長は本当に優しい方でした。
この件さえなければ、きちんとお話を聞いてくださるのであれば、ずっと一緒に仕事をしていたいなと思える方でもありましたので、誤解なきようお願いいたします。
そして、その後わたくしは不動産会社へ転職をするわけですが、、、
なんと、転職先も現金主義の会社でした。
まぁ不動産であればいいと思いますけど、最終的に私が担当したのは物販系なので、発生主義じゃないと損益管理ができない事業だったんですよね、、、
社内に2人だけは味方がいたんですけど、社長をはじめ実務を担うメンバーが全く理解せず、、、疲労困憊でギブアップしました(笑)
もう現金主義だいきらい。。。🍺
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