クラフトビールの違いって何?~原料と製造工程の違い編~
こんにちは!
クラフトビール専門ポータルサイトを運営しているビールの縁側です。
前回は、クラフトビールの違いはどこにあるの?という疑問を「ビアスタイル」というクラフトビールの種類からご紹介しました!
前回の記事、たくさんの記事にピックアップしていただき、多くの方に反響をいただきました!
まだまだ書き物自体を始めたばかりのひよっこスタッフが運営しているので、本当にありがとうございます!!
クラフトビールの事で知りたいことや疑問に思うことなどがあれば、こちらのシリーズでご紹介していければと思っておりますので、ぜひコメント欄からお気軽にお聞かせください♪
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さて、前置きが長くなりましたが、
本日は「クラフトビールの違いって何?~原料と製造工程の違い編~」ということで、「原材料」と「製造工程」の違いで生まれる味わいの違いをご紹介したいと思います!
前回「ビアスタイル」として定義されていた、たくさんのクラフトビールの種類。
このビアスタイル自体が製造方法や生産地などによって細かく定義づけられているのですが、同じビアスタイルの中でも使っている材料や製造時の環境によって出来上がりの味が全く違うものにもなるんです。
クラフトビールを造る人、造る材料、造る環境など、
ほんの少しの変化でも同じ味を造るのが難しいクラフトビールの世界。
今回の記事でご紹介する「原材料」と「製造工程」での味わいの違いを知っておくと、繊細で奥深く、多様な味が生まれるクラフトビールがもっと美味しく感じること間違いなしですよ!
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ビールの原料はシンプル!
原料はたったの4つ
たくさんの種類があって、飲んでみると何とも複雑な味がするクラフトビールですが、ナント使っている原料は主に4つ!
クラフトビールに限らず、どんなビールにも共通で重要な原料が「麦芽、ホップ、酵母、水」です。
この4つの原料の他に、スパイスやハーブ、フルーツなどの「副原料」を入れることで「フルーツビール」などと呼ばれることもあります。
麦芽
1つ目は「麦芽」。
「麦酒」と書く「ビール」の原料で「最も重要」ともいわれる麦芽。
「発芽した『麦』を乾燥させたもの」のことを言います。
小麦、ライ麦、オーツ麦などなど、ビールに使う「麦」はいろいろありますが、主に使用されているのは「大麦」。
主な役割は以下の4つです。
①アルコールに変わる糖のもとになる
②味わいや色味に特徴をあたえる
③炭酸を包み込むタンパク質のもとになる
④ボディ(※)を決める要素になる
※「ボディ」は、飲んだときに感じる味わいの濃淡や存在感の強弱を意味するビール用語です。
後ほどご説明するビールの製造過程でも、じっくりと時間をかけて丁寧にこの麦芽を加工していきます。
ホップ
2つ目の原料は「ホップ」。
ホップとは、蔓性(つるせい)の多年生植物です。
一度植えられると10年以上も長生きすると言われ、他の樹木や物体を支えに茎を伸ばし成長します。
動物がオス・メスと分かれているように、ホップもひとつひとつの「株」と呼ばれる植物体で雄と雌があり、ビール造りに使われるのは雌株の方。
松ぼっくりのような形をした「毬花(まりはな・きゅうか)」という部分がビールの原料になります。
そんなホップの主な役割は、以下4つです。
①香りをあたえる
②苦味をつける
③泡持ちをよくする
④保存性を高める(防腐作用)
①や②のように、ホップはビールの香りや苦みに重要な役割を果たしており、最近ではこのホップが大量に入った苦みの強いIPA(ダブルIPAなど)が人気となっています。
ビールの進化と共にホップの開発も進み、ホップの品種は100種類を超えているとか…!
酵母
3つ目の原料が「酵母」です。
「微生物」の一種である酵母の役割は、主にこの2つ。
①糖分を食べてアルコールと炭酸ガスを排出する
②香りや味わいに特徴を与える
4つの原料の中で唯一“生きた状態で”その役割を果たすので、ビール造りの難しさと偶然的な美味しさに出会える重要な存在なのです。
水
最後の原料は「水」です。
「ビール」という液体の90~95%を占め、醸造の工程すべてで本当にさまざまな役割を果たしています。
クリーンな水であることはもちろんのこと、「pH(ペーハー、水素イオン指数)」「硬度」「ミネラル含有量」といった水の特徴が、できあがるビールの色や味、香りに多大な影響を及ぼします。
日本酒などは古くから「酒造りには水が大事!」ということが知られていますが、お酒の種類に関わらず「水」の味はとても重要なことが分かりますね。
ビールはどうやって作られるの?
ビールの製造工程は、大きく「①製麦②仕込み③発酵④熟成⑤充填」に分けられます。
①製麦
まずは大麦を水に浸して発芽させ、その後焙燥(乾燥+焙煎)させることで「麦芽」をつくる「①製麦」という工程から始まります。
この焙燥の時間や行程に違いによって麦芽独特の色や香りの特徴が決まります。
製麦には専用の設備が必要で、品質・価格の面で海外の麦芽の方が国産のものよりも競争力が高い場合が多いので、日本の多くのクラフトブルワリーは自分たちの工場(醸造所)でこの工程を行うのではなく、すでに製麦された麦芽を輸入しています。
②仕込み
次に「②仕込み」と呼ばれる工程です。
この工程には、「麦芽粉砕」「糖化」「ろ過」「煮沸」「熱交換」といった細かな工程が含まれ、この流れのすべてを1日で行うことが多いようです。
麦芽を細かく砕き(麦芽粉砕)、後の工程で麦芽に含まれる「でんぷん」が水に溶け出しやすい状態にします。
次に「糖化(マッシング)」では、砕いた麦芽とお湯を混ぜ、撹拌します。このとき麦芽の内の酵素の働きによって、麦芽内の「でんぷん」が「糖」へと変化します。
マッシングが終わったら「ろ過」を行って麦芽のかすと麦汁を分け、麦汁を「煮沸」します。
また、この煮沸の工程で苦みや香りを生み出すホップを入れいきます。
煮沸が終わったら、熱々の麦汁を「熱交換器」に通して酵母が活動できる温度まで冷まし、発酵タンクに移します。
③発酵
次は「③発酵」の工程です。
この工程では、酵母が麦汁に含まれる糖を食べてアルコールと炭酸ガスを生み出します。
ビールの炭酸はこの発酵の過程で生まれるものなんですね!
ビールと炭酸の関係は下の記事でも詳しく書いているので、よかったら読んでみてくださいね♪
また、ここで加えた酵母そのものも独特の香りや味わいを生みだす効果をもっているんですよ!
エールであれば3~6日、ラガーであれば7〜10日程度の期間をかけて発酵させます。
④熟成
発酵が終わったらビールをタンクへ移し、0℃近くまで冷やして2週間〜数ヶ月の期間「④熟成」へ。
熟成に必要な期間は、目指すビールの味やビールの種類によってさまざま。
貯蔵用のタンクへは移さず、発酵タンクのままで熟成させるブルワリーもたくさんあります。
温度を0℃近くまで下げることで生き物である酵母の動きが止まり、この熟成期間をかけることで調和のとれた味わいや香りとなるんです。
⑤充填
完成したビールは、ケグ(樽)や瓶・缶に詰められ、飲食店・販売店、そして皆さまのところへ届きます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「ビールの原料と製造工程での味わいの違い」をご紹介しました!
次回の『クラフトビール豆知識』では、ビールの苦みを表す指標『IBU』をご紹介しますよ♪
ぜひ前回のクラフトビール豆知識「クラフトビールの違いって何?①~ビアスタイル編~」も読んでみてくださいね!
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