クラフトビールという『パ・リーグ』について
田舎のテレビは局数が極端に少ない。野球少年だった僕にとって野球を見るとなるともっぱら『巨人』の試合であった。巨人VSどこか。初めはみんな強い巨人が大好きである。だが見飽きてか、次第に選り好みが出てそれぞれの球団の帽子をかぶって登校するようになる。
小学生高学年。草彅剛が「地デジ化!」と叫び、田舎でも映るチャンネルが変わった。野球少年だった当時の僕はそのタイミングで関西近辺のパ・リーグの試合がみられるようになった。それまでニュース番組の数分だけ写っていた「おまけ」のパ・リーグであったが、じっくり見ると非常に面白い異様な空間だった。
豪快な大振りの中村紀洋、2段フォームの岩隈。そしてもう一人の松井。
野球を知らない人にとってなんだそれは、という世界だけど、小学生の僕にとってそれはそれは新しい大陸を見つけたこと同じことだった。
いささか強引な話ではあるけどビールの世界にも『巨人』がいることをご存知だろうか。麒麟、黒ラベル、サッポロなど…スーパーで見かける銘柄を思い浮かべる方も少なくないだろう。実はそれはただの選手名でしかないことを知っている人はビール党の党員を除くとそう多くないのではないだろうか。
実を言うと日本で消費されているビールは『ピルスナー』と呼ばれるスタイルが9割ほどを占めている。その1種類を口にして「ビールは総じて苦い、違いがわかりづらい。」と、苦手意識を持ってして人はビールから遠ざってしまう。(また近づこうとはしない。)
クラフトビールは実はその対岸。
巨人が属するセ・リーグと対極のパ・リーグな世界。そこには個性派が集まっており「全然苦くないもの」「苦すぎて笑っちゃうもの」「酸っぱいもの」「もはやジュース」など飽きることのない味覚のオンパレードが広がっている世界なのである。
そこには違いのわかる繊細な味覚など一切必要なく、眉間にしわ寄せて通ぶる必要もなく、もはや別の飲み物レベルで違う。そこがビールの面白さであり奥深いところだと僕は強く信じています。
次回からはそんなパリーグの世界から、少しずついろんな選手を、いろんな球団も面白さを感じてもらえるようご紹介をしていこうかと思います。
それではまた!