『Beep21』お試し記事パック➄ ─セガハード列伝─ #0回 メガドライブの秘密を追え!
歴代のセガハードの話をする際は
セガハードの父とも言える
佐藤秀樹氏の名前が必ず出てきますが
実はそれぞれのハードの裏側には
今まで世に出てこなかった話や
隠されたエピソード
そして開発現場の苦労話など
発掘するべきものが
まだまだたくさんあるようです…。
今回『Beep21』でスタートした
「セガハード列伝」。
この連載記事では
第三研究開発部(※当時)の中に
あった部署である
デザイン設計課
機構設計課
など当時の関係者の証言を交え
今までに世に出ていなかった
エピソードの数々を発掘していく予定です。
今まで見たことのない秘話が満載!
この後も続々とシリーズは続いていく予定です。
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この時代のセガの研究開発部
セガの研究開発部は当初は
ハードを開発する部署と
ソフトを開発する部署という
大きな枠で仕切られていたものが
1985年頃から以下のように
編成されたと言います。
になったと言います。
このあと1990年代に
各研究開発部は再編され
よく知られているAM2研、AM3研…
といった形になっていくのですが
これらの研究開発部の推移は
また別のところで整理していこうと思います。
この当時の第三研究開発部にあった
デザイン設計課は
コンシューマ(家庭用ゲーム機)に
関わるものは一通り担当し、たとえば
テレビCMや、広告キャッチコピー、
筐体設計やパッケージからマニュアルまで
デザイン設計のすべてを担当し
機構設計課は具体的なハードの
機構設計を担当し、製品ができていく
までのすべてのプロセスを見る部署
だったと言います。
この2つの部署
デザイン設計課
機構設計課は
セガの歴代家庭用ハードが
どのような検討をした上で
製品化され、形になっていったかを
熟知しており、この当事者への取材によって
たとえば
それぞれのハードのコードネームの由来や
そのハードで何を目指していたのか、
何を想定して作っていたか、など
今まで世に出ていない話を
多数発掘できると考えています。
今回の『Beep21』創刊号(パイロット版)
「セガハード列伝」#0回では
まずは当時の関係者から
聞くことができたエピソードの一部を
公開していこうと思います。
メガドライブの当時の社内コードネームとは?
メガドライブのコードネーム
として見たことがあるものとしては
「マークⅤ(ファイブ)」というものが
あるかと思いますが
セガ社内で実際に当時使われていたのは
「M5(えむご)」というコードネーム
だったと言います。
海外版マスターシステムは
単にセガ・マークⅢの海外販売版として
作られたもので、FM音源は搭載されておらず、
日本で発売されたマスターシステムには
FM音源が搭載される形となっていました。
それゆえ日本で発売された
マスターシステムのコードネームは
「M4J(えむよんじぇい)」
だったと言います。
意外な事実!? マスターシステムはなぜ名前が「マスターシステム」だったのか?
社内で使われていた
「コードネーム」に続いて
製品名の由来についても
明かしていきましょう。
ここまでの名前はある意味
自然な流れと感じますが
「セガ・マスターシステム」は
なぜ唐突にこの名前になったのか?
これについてはマスターシステムが
であった
ということにその答えのカギがあったようです。
海外でこの当時
大ヒット商品となっていたライバル機は
言わずと知れた任天堂の
「ファミリーコンピュータ」。
海外名はご存知のように
「Nintendo Entertainment System」
通称「NES」でした。
これに対抗するセガの新ハードは
と新しさをつけよう!ということで
つまり任天堂のNESに対抗する
新しいシステムいうことで
「マスターシステム」になったのだ
というのです。
「メガドライブ」の名前の由来は?
佐藤秀樹氏のインタビューの中でも、
メガドライブの名前は社内公募も含めて
決まっていったと語られていますが
この時に意識されていたのは
1987年に発売されたPCエンジン
だったと言います。
開発現場としては
という意気込みが強くあり、
PCエンジンは
と解釈され
セガとしては
これからの時代を見据えて
という意味を込めて
メガドライブになったのだと言います。
(※当時の関係者・談)
ここからおなじみの
というキャッチフレーズが
宣伝部によって作られ
メガドライブは発表会で大々的に披露され
1988年10月29日に発売されることになります。
ちなみに
メガドライブの製品コードは「HAA」ですが、これは
という経緯があったそうです。
ゲームギアのコードネームと製品名の由来は?
ちなみに、1990年に発売される
カラーのハンディゲームマシン
「ゲームギア」の名前の由来と
コードネームについては
こう語られています。
つまり
「M4」はマスターシステムの
コードネームでしたが、
スペック的にはそのポータブルマシン
ということで「M4ポータブル」が
ゲームギアの社内コードネームだった
というわけです。
そして、
「ゲームギア」という名前については
こう語られています。
ゲームギアには周辺機器として
テレビチューナーパックなど
クルマに取り付けられる
ようにされていたあたりからも、
そうした設計側の意図が
見えてくる気がします。
メガドライブの形状と価格、仕様についての秘密
メガドライブのデザインを見た時に
不思議に感じる部分がいくつかあります。
たとえば本体カートリッジ周辺の「丸い形状」。
これはいったい何を意味しているのか?
実は、当時は音楽CD(コンパクトディスク)が
登場してきた時期で、オーディオコンポなども
人気商品という時代でした。
そこで
ということで、
こうしたデザインになったと言います。
(※当時の関係者・談)
▼参考
その背景には、
ライバルのPCエンジンなど
世の中的には、CD-ROM機もそろそろ
出始めてきた時期でもあったこともあり
当然そうした意図(CDが入りそうな感じ)も
あのデザインには込められていたというのです。
ちなみに、メガドライブの販売価格が21,000円
という中途半端な値段となった理由については
というのが真相だとのこと。
それぞれのパーツひとつひとつに
苦労話が存在していることも
今後の話の中で、明かしていければ
と思います。
ソフトのパッケージやマニュアルに込められた秘密とは
コスト的に切り詰めた部分は
確かにあったものの
実は、メガドライブからは
マニュアルやカートリッジの形状などは
かなりこだわって承認されたものがあり
にはあったのだと言います。
たとえば
メガドライブソフトのカートリッジは
カセットテープサイズにすること。
こうすることでユーザーも
ソフトを(カセットテープラックなどに)
しまいやすく、なくしにくくなるだろう
という意図や
ゲームソフトのマニュアルは最初は
6穴リフィルのサイズにして
これもまた集めてまとめやすい仕様にしよう
という意図があったそうです。
ですが、こちらは
その結果ページ数が増えてしまうためコストも高くなる
といったことから、
約半年ほどで穴のないマニュアルに
されたと言います。
※ですが、マニュアルの紙はコート紙の
いい紙(90kgの上質紙)を使うことが承認され、
マスターシステムまでのペラペラな
マニュアルとは質感の全然違うものに
なったのだそうです。
そして、メガドライブカートリッジの
独特なパッケージ。
あれは当初はカートリッジと
同じ発想で、収納しやすい
と提案したそうですが
こちらは海外のマスターシステムの
パッケージの金型が余っていたため、
(コスト的に)それを使うという判断となり
VHSサイズのパッケージという案は
なくなったそうです。
※その後スーパーファミコンのソフトの
パッケージがVHSサイズにしてきたのは
皮肉なところですが…。
「セガハード列伝」では今後こんな貴重な話も…
今回の「セガハード列伝」は
「序章(#0回)」として予告編的な
「さわり」をお届けしましたが
次回からは、
当時の当事者の方たちの証言を交えて
さまざまなエピソード、秘話
未公開の話をお届けしていこうと思います。
たとえば
セガのハードはセガサターンをはじめ
惑星の名前をコードネームにしたものの
世には出ないままになった
製品などが多数あります。
など世にいろいろな形で
流布している話がありますが
実際に当時の開発者に
それらの設計の真相を聞いていき
本当はどういう目的で作られて
いつ何台作られたのか?
そんな当時の回顧録も
後世へ残す記録として
公開していければと思います。
ちなみに、この「プルート」は
以前、オークションサイトに出品されて
高額落札されたという話題がありました。
実はこの時は2台しかないハードだと
されていましたが、
実際には5台存在し、2台は着色され
3台は未塗装なものが存在していた
といった情報も当時の関係者から
入ってきています。
あの惑星の名前シリーズも
一部では事実とは違う形で
知られているところもあるらしく
そこは少しずつでも
新たな事実と真実を記録にして
残していければと思っています。
今後の連載にぜひご期待ください。
もちろん、この「セガハード列伝」は
家庭用ゲーム機シリーズだけでなく
将来的にはセガのアーケードの歴史にも
踏み込んでいればと思いますので
そこはじっくりと腰を据えて
進めていければと思います。
さて、今回の「序章」はここまで。
「セガハード列伝」では
皆様からの情報やご意見
ご要望をお待ちしています。
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