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スマホ壁紙付録つき!『Beep21』B-SPEC 斗々屋堂─第4回「ソニック2編(前編)」Cover Illustration : ソニック&テイルス─
ついに語られる「ソニック2」とテイルス誕生秘話!
『Beep21』の好評連載企画
JUDY TOTOYA(山口恭史)氏の
「斗々屋堂」。
前回はアメリカに上陸し、そこで見たアメリカの開発現場の模様が明かされました。
▼JUDY TOTOYA(山口恭史)氏が最初にセガに入った経緯はこちらで読めます
今回はいよいよアメリカで開発されることになった「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」の初公開エピソードやテイルス(※本名はマイルス・パウアーの)誕生秘話が、当時の貴重な資料とともに次々と明らかにされていきます。そして、恒例の『Beep21』購読者特典の特製スマホ壁紙付録イラストは、テイルスの生みの親でもあるJUDY TOTOYA氏による完全描き下ろしイラスト(ソニック&テイルス)です!
くしくも先日の2023年10月17日には、クラシックソニックで話題を集めている「ソニックスーパースターズ」も発売。全米で大ヒットし、GENESIS人気を加速させた「ソニック2」の開発秘話とテイルス誕生の裏話の数々は永久保存版的内容として興味深く読んでもらえるものと思います。ぜひ最後までご覧ください!
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現地プロジェクト開始早々、「ソニック」の発売と大ヒットで大きな転換が
今回の第4回目の連載から、アメリカでの「ソニック2編(前編)」となります。
前回、アメリカに渡って「カメレオンキッド」のヘルプ作業をした後、日本から後発のスタッフも到着し、いよいよ現地アメリカのスタッフと組んで新しい企画が動き始め、テストグラフィックなどを作成していたのですが、ここで大きな転機が来ます。
アメリカ国内で日本で開発されていた「ソニック・ザ・ヘッジホッグ(1991年)」が発売されたのです。
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元々ソニックの生みの親である大島(直人)さんが、(「ソニック1」の)開発段階からかなり海外市場を意識したキャラクターや世界観設定を作り込んでいたので、その狙いは当時のアメリカを含む海外市場にど直球で命中したのです。
▼参考
「ソニック2」のアートディレクションを担当することになった経緯
アメリカでのNES(※Nintendo Entertainment System=海外版ファミコンの略称)との比較広告も向こうの人達のツボにはまり単品のソフト、新規ユーザー向けのジェネシスにソフト同梱の販売作戦もプラスに作用して、(「ソニック1」は)売れに売れまくったという感じが(アメリカ)現地にいて肌で伝わってきました。
当然大きなムーブメントになりつつあったソニックをSOA(セガ・オブ・アメリカ)が黙って見ているはずはありません。続く第二弾を出したいという思いは強かったでしょうが、日本でソニックチームは解散というか、メインのゲームプランナーであった安原(広和)くんはSTIに既に異動してきましたし、メインプログラマーの中(裕司)さんは日本のセガを退社してしまいました。
マーク・サーニーが中さんをスカウトするべくSTIに一度招待し、アメリカの開発環境を見せて招く上での待遇を示して交渉することになります。
交渉が進む中、「中さんがSTIに来たらソニック(の続編)をやってくれますか?」というオーダーをマークから私は受けることになりました。
ソニックのメインスタッフだったプログラマー(中さん)とゲームプランナー(安原さん)が揃うわけですから、あとはグラフィック(私)さえ揃えばアメリカでソニックのプロジェクトを動かすことができます。
流石に大島さんをアメリカに呼びたくても日本のSEGAが手放してくれることはなく、代わりにメイングラフィックとアートディレクションをやる人間が必要で、白羽の矢が私に立ったわけです。
アメリカ人スタッフはまだ経験も浅く、また誰ひとり大島さんがソニックにかけた想いを知りません。
自分は当時、日本で「アドバンスド大戦略(1991年)」の仕事を泊まり込みでやっていた時、夜中に同じく「ソニック」を作っていた大島さんからソニックにかける意気込みや裏設定などをよく聞かされていたので、これは生半可な状態では引き受けられないぞということで、日本に連絡をして大島さんと話したところ「山口に任すわ」との言葉をいただきました。
そういうわけで「ソニック2」のアートディレクションのアサインを(私が)引き受けることになったわけです。
やるからには「前作超え」はもちろん、下手なことはできないという緊張感はありました。
こうして「ソニック2」の制作がスタートしました。
「2」を作るに当たって、中さんが前々から2Pプレイや対戦プレイができるようにしたいということで、そこを主軸に1のデータを使って2Pと、インターレスモードを使った画面、2分割の対戦モードのテストプログラムの作成に入り、
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私はプランナーの安原くんとともに「2」での大まかな舞台設定やイメージボードを作成していくことになります。
「ソニック2」の開発初期にはタイムトラベル要素の検討もされていた
安原くんの当初のイメージで、今回は別の島でタイムトラベル要素を入れて島のマップが変わっていくというアイデアが出ました。
それを元にワールドマップを作って時間によって変化するステージなどのイメージボードを作成していきます。
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JUDY TOTOYA(山口恭史)氏によって描かれた初期のカラーイメージボードの数々
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結果的にスケジュールの問題でステージ数が多すぎるのでタイムトラベルの要素はキャンセルされ、ステージのアイデアはカットされることになります。
その後開発が少しあとにスタートする「ソニックCD(1993年)」でタイムトラベルのアイデアが使われたり(※これは「ソニック2」でのアイデアが流れたわけではなく、「ソニックCD」は独自でアイデアを作っていたので、そこに関連性はありません)、没ステージやデスエッグが島から宇宙に行くといったようなアイデアは「ソニック3(1994年)」「ソニック&ナックルズ(1994年)」に引き継がれることになります。
▼関連参考記事
~マイルス“テイルス”パウアーの誕生~
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