『Beep21』セガ・アーケード メモリーズ by 元『ゲーメスト』ライター 豊臣和孝 ーmemory 17ー 最大4人プレイが本旨! シングルはストイックな味わい「カルテット」
1980年代から1990年代を中心に、セガのアーケードゲームについてゲームセンターで稼働していた当時の雰囲気、ゲーマーの間でどのように盛り上がったのかなどを綴っていく連載『セガ・アーケード メモリーズ』。今回は、4人同時プレイが可能な「カルテット」をお届けします。のちに2人プレイ版もリリースされますが、4人同時プレイ|筐体《きょうたい》は特殊なものだったため、ゲームセンターならどこでも設置されていた……というわけではありませんでした。そんな中、『ゲーメスト』でライターをしていた豊臣和孝氏は本作に特別な思い入れがあるようです。その思いをぜひご覧ください。
▼豊臣和孝氏による過去のコラムは以下からご覧ください
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今回の執筆者 : 豊臣和孝氏(元『ゲーメスト』ライター)
'80年代アーケードでは数少ない4人プレイに対応
今回ご紹介するのは、1986年にアーケード向けにリリースされたグループアクションゲーム「カルテット」です。プレイヤーは私設救援隊「カルテット」となり、ボスを倒してカギを奪い他隊員の誰よりも先にドア(EXIT)を開けて先に進むことを目指します。
本作は最大4人までのマルチプレイが可能で、専用の大型筐体はコントロールパネルの各部位が登場キャラクター4人のパーソナルカラー(赤、青、黄、緑)に塗り分けられており、そのキャラクターを使いたい人は対応するコインシューターにお金を入れてスタートボタンを押す、といった仕様になっていました。コントロールパネルの位置で使用キャラクターが決まっている作りは、恐らくインスパイアされたであろう前年(1985年)リリースのATARI「ガントレット」をほうふつとさせます。
4人のキャラクターには性能差があり、2人以上でプレイするときは使いたいキャラクターがかぶっていると奪い合いになったものです。
マリ(赤): 4人のなかで最も強力なショットを持ちパワーアップすると敵を貫通。防御力は一番低く移動も遅め
リー(青): 敵を捕らえやすく幅のあるワイドビームは非貫通だが連射が効く。移動が速い
ジョー(黄): 直線的なショットは4人で随一の弾速、連射も効く。他は平均的
エドガー(緑): パワーアップするとショット性能が曲射から拡散、火炎放射と変化する特殊なタイプ。火炎放射による壁貫通は大きなメリットだが上級者向け
ゲームシステムはサイドビューの横スクロールタイプ、ステージは全32構成(基本パターンは宇宙、基地、地下、パイプライン、神殿の5つ)で、32ステージクリア後はステージ1に戻るループ仕様。触れるとダメージを受けるトラップなどもありますが、4人マルチプレイを意識してか構造自体はどのステージもシンプルで、気持ちよく立ち回れるようになっています。
各ステージを左右に動き回り、あちこちにある扉(ゲート)から出現するザコを倒しつつアイテムを回収して(マルチプレイのときは他のプレイヤーより先に)、ボスを倒してカギを奪い、ドア(EXIT)を開けて先へと進みます。キャラクターには画面上部スコアの下に「POW」と記された数値があり、これが「残り体力」をあらわしています。DIP標準設定は1000POWからスタートし、時間の経過や敵からダメージを受けると減少、力尽きると画面上から天使が降ってきて連れ去られゲームオーバーとなってしまいます。
ゲームオーバーについては、POWが時間経過で10ずつ減って0になったときは、“それ以上外的なダメージさえ受けなければプレイが続行可能”でした。この状態でも、後述するPOW回復アイテムを取ったり、ボスを倒してカギを取りドアまでたどり着いたりすれば活路が開けるので、諦めずにプレイしてギリギリなんとかなったときの安堵感たるや……! 各ステージに制限時間はありませんが、長時間粘ると永久パターン防止キャラ「死神」が出現するため、それが事実上のリミットになっています。
超重要なアイテム ~4人プレイは早い者勝ち~
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