「SEGA SOUND STREET on Beep21」02-2 セガラリー チャンピオンシップ─光吉猛修─
今回はセガサターン版も含めた「セガラリー」編の後半をお届けします!
"歌うサウンドクリエイター"光吉猛修氏自らが、当時の回顧録をお届けする「SEGA SOUND STREET on Beep21」。
今回は前回に続いて「セガラリー」編の後編をお届けします!
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▼光吉猛修氏のコンプリート版インタビューと過去の回顧録もあわせてどうぞ!
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Sound Effects
セガラリーの効果音に関してですが、実はセガラリーの効果音は私ではなく、河村知之氏が担当しています。彼は私が入社した次の年にセガに入ってきたサウンドデザイナーで、楽曲もかけるのですが、セガラリーでは曲を手がけたのは1曲のみ(通信対戦エントリー受付中)で、エンジン音を含めた効果音全てのデザイン及び作成を(河村氏が)行ってくれました。
この分業制は本当に助かりました。「DAYTONA USA」では一部の効果音と立体音響周り以外は全て自分で行っていた為、かなりのハードワークでしたが、彼の存在のおかげで、セガラリーに関して私はほぼ楽曲の事だけを考えれば良かったので、基本1プロジェクトサウンド1名、という当時のセガアーケードサウンド開発体制から考えると異例ですが、逆にその走りだったのではないか、とも思います。
一段階上のエンジンシミュレーション
セガラリー効果音の最も特徴的な事として、あのリアルなエンジン音がまずは挙げられると思います。詳しい仕様はわかりませんが、あの当時私が聞いた話では、セガラリーは2種類の独立するエンジン音制御をしていたと聞いています。
「DAYTONA USA」のエンジン音は回転数に分けた素材をスピードに合わせて段階的に切り替えて発音していました。その時のエンジン音の素材は1種類、音的に言うとタイヤと路面が接地して生まれる、所謂みなさんが想像するあのエンジン音です。厳密にはトンネルの中はもう一種類のエンジン音を制御していましたが、使い方が違います。
一方、セガラリーはというと、その走行音とは別に「排気音」と言う別のテーブルを持ち、車の走行する状況によって出し引きしていたとでも言いましょうか。理屈としては車のそれと同じなのですが、それをゲームに入れ込んだ所が、本当に車好きがエンジン音開発に関わったという証拠だと思います。
わかりやすく言うと、セガラリーではコースの途中に起伏のある路面が登場します。その凹凸のある路面を車が猛スピードで走り抜けると、バウンドして一瞬宙を浮く訳ですが、その時のエンジン音はタイヤが路面に接地していない為、空ぶかしの様な独特なエンジン音になります。「ヴワァアアアン」とでも言いましょうか。
これがとてもリアルで、路面の接地を見ながら2種類のエンジン音をコントロールする事でより現実的なラリーのエンジン音をリアルタイムに再現するという、サウンドデザインに行き着いた事になります。ゲーム中に車を停止して空ぶかしすると、その表現が良くわかると思います。
と、ここまで書いておきながら、当時厳密にその仕様を書き留めたり、詳細に聞いた訳ではなく、途中からは私の私見も混ざっての解説になりましたが、概ね間違ってないと思いますが、詳細はいつか佐々木氏か河村氏にしてもらいましょうか。
「キュルルル」という不思議な効果音
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