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射撃戦事始め(前編)


 わたりです。

 突然ですが質問です。
 TPSFPSで遊んでいるとき、背後などの視野外から撃たれたら皆さんどうしますか?
「やべっ!」とあせりつつ身を隠せそうな物陰をさがす、無ければとりあえず射線から逃れるように走る。
 まずはこんなところが順当なリアクションではないでしょうか。
 でも、30年前はちょっと違っていました。
「ずるい!見えないところから撃ってくるなんて!!」
 そんな風に怒ってしまう人が少なくなかったのです。
 時は’90年代、アーケードは「ストリートファイターⅡ」などを中心とした格ゲー最盛期。
 未だTPSやFPSが普及していなかったそんな時代に、初代「バーチャロン」の開発は始まりました。
 電暦拾遺、連載五回目となる今回は、開発初期の射撃戦フォーマット構築をめぐる試行錯誤についてお話してみようと思います。

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3D対戦型アクションシューティング:バーチャロン以前

 射撃、あるいは銃撃メインで戦うTPSやFPSは、現在のビデオゲーム界では認知度の高いジャンルです。でも「バーチャロン」の開発が始まる1994年のアーケード界隈かいわいでは、まだまだでした。たとえば、セガはすでに1989年の段階で「ラストサバイバー」という疑似3Dの対戦型アクションシューティングを出していますが(※1)、残念ながら多くのプレイヤーの支持を得ることはありませんでした。また’90年代に入ると、PCでは「ウルフェンシュタイン3D」や「DOOM」などがリリースされ、国内でも一部のマニアには届いていたはずですが、そこから大きい流れが生まれるところにまでは至らなかったと記憶しています。

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