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「日本の巨大ロボット群像」展によせて


お待たせしました! 「電脳戦機バーチャロン」の生みの親・亙 重郎氏直筆コラムの第2回です!

『Beep21』で連載がスタートした亙 重郎わたり じゅうろう氏による「電暦拾遺でんれきしゅうい」。満をして第2回をお届けします!

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▼亙重郎氏のロングインタビューもあわせてご覧ください

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間がきました。
なんやかやとバタバタしているうちに……申し訳ありません。
電暦拾遺、二回目を始めさせていただきます。

この春、横須賀美術館に行ってきました。
『日本の巨大ロボット群像』展をみるためです。

日本の巨大ロボット群像

 こちらの展示、昨年9月から全国を巡回中でして、現在は京都文化博物館で開催中です(9/1まで。その後、2024年12月21日~2025年1月13日まで東京、2025年2月からは愛知県で開催予定)。2024年の第55回 星雲賞・自由部門を受賞したとのことで、既に足を運ばれた方もいらっしゃるかもしれませんが、なかなか興味深い形にまとまった展示だと思います。主にアニメーションで描かれたロボットたちを約60年のスパンにわたってとりあげているため、年代層を問わず、いずれかの作品がフックとなり得ますし、個々の作品に対する着眼点も的確で納得がいきます。具体的には、1963年の鉄人28号、そして1972年のマジンガーZ、この2作品をしっかりと見せて基本となる流れをつくり、その後、合体のゲッターロボ、変形のライディーン等、後続の作品に影響を与えた特徴的なアイデアを持つ作品を取り上げています。そして1979年のガンダム。ミリタリー要素と人間ドラマの厚みを持ちこんでそれまでの巨大ロボにつきまとう荒唐無稽こうとうむけいを上書きし、「らしさ」あるいはリアルっぽさの演出に成功したことを示します。その一方で、誕生前の試行錯誤の段階では「宇宙の戦士」のスタジオぬえ版パワードスーツの意匠に影響を受けていた点も指摘しています。

宇宙の戦士(1977年) 加藤直之・宮武一貴 ©スタジオぬえ

 このぬえ版パワードスーツは個人的にかなりのツボでして、中学生の頃に手にしたハヤカワ文庫の『宇宙の戦士』に掲載されていたイラストは鮮烈な印象を残しました。今回、会場でもかなり大きく取り上げられていたのはうれしい限りで……といった話を始めると本題から大きく脇道にそれてしまうので自粛じしゅくするとして、ここでは本連載に関連する話題に絞らせていただきます。

謎のパネル

 実は本展、会場の最後の最後、出口あたりにこんなパネルがあります(少なくとも横須賀美術館にはありました)。

※クリックすると拡大して見ることができます。

 あやしい男が怪しい薄ら笑いを浮かべている怪しいパネルです。が、一応、亙でもあります。文字通り末席を汚す形でお邪魔させていただいております。
 本展のキュレーターを務めていた廣田さんから取材の打診を受けたのは2023年の始め頃だったと記憶しています(※1)。今回は取材の経緯や、その際お話しさせていただいた内容についていくつかトピックを取り上げ、深掘りしてみようと思います。

 廣田さんから連絡をいただいた当初は「ロボ展? そう言いつつ結局はガンダムにかたよった展示になるのでは……」と警戒感を抱きました。アニメーションで描かれてきたロボットを考える際、ガンダム以前の作品群をしっかり視野に入れておく必要があると思うのですが、そうは言っても認知度の高いタイトルですから、展示の際には多くをかざるを得ない。しかし、そうすることで全体のバランスがゆがみ、歴史的文脈を見誤るものになってしまう可能性も出てくるのでは、と危ぶんだのです。勿論もちろん、展示内容に私があれこれ注文をつける権利はありませんが、違和感を抱くものに関わりを持つのもつらい。そこで、返事をする前に展示のコンセプトや構成案などを伺ってみました。すると、懸念けねんしていたような方向性とはおもむきが異なることが分かってきました。
 これは私の持論なのですが、巨大ロボをモチーフとする作品群について、時系列に沿う形でコンテクストを俯瞰ふかんする場合、わかりやすさを重視した切り口というのが必要だと思っています。具体的には、一つの起点となった鉄人28号、「搭乗」という発明を付加して革命を起こしたマジンガーZ、この偉大なる2つのタイトルをつなぐ線上にあまたの作品をプロットしていくやり方がある種の最適解ではないかと考えているのです。廣田さんにその旨お伝えすると、今回の展示はまさにそういう方向性を想定しているとのこと。警戒感は薄れ、若干興味もわいてきたため、お役に立てるようであれば、とインタビューをお受けすることにしました。

なぜバーチャロンはTPS画面を採用したのか?

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