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ササキトモコが初めて語るセラニポージ ドキュメント【おまけつき】03 ─⼆代⽬ボーカリストに芸能活動の夢を⾒た─


ササキトモコさんの回顧録コラム第3回をお届けします!

セガのサウンドクリエイターとして活躍し、セガサターンの名作NiGHTS into dreams…の楽曲やルーマニア#203セラニポージなどを生み出してきたササキトモコさんの連載コラム。

第3回の今回は「ルーマニア#203」の続編にあたって迎えた新たなボーカル東野佑美⽒(YUMI)さんの話や、2ndアルバムの楽曲秘話などをお届けします。

▼第1回と2回のコラムはこちらから

▼ササキトモコさんのインタビュー記事もあわせてどうぞ!

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4. 二代目ボーカリストに芸能活動の夢を⾒た

「ルーマニア#203」の続編を作ることになり、再びセラニが⽴ち上がりました。
新しい「ニュールーマニアポロリ⻘春」は⼥主⼈公も追加される、とのことで、セラニポージのイメージも少し変えようと、ボーカルに東野佑美⽒(YUMI)を迎えました。
私のイメージだと、YUMIさんもYUKIさんと同じく、福富さんと豪華セットである⽇突然どどん! とやってきた感じでした。

リケンのわかめスープのCMでぴょんぴょん跳ねていた女の子です

YUKIさんもYUMIさんも個性的で⾯⽩い⼦なのですが、YUMIさんには芸能⼈っぽさがあったので、私はセラニポージで歌番組を無双するのもアリなのではないか、という夢を⾒ました。シングルを定期的に出して、チャート争いをして、いつか、HEY! HEY! HEY!(その頃あったお笑い芸⼈ダウンタウン司会の歌番組)に出て、ダウンタウンの浜ちゃんにどつかれる、そんな夢です。今から、スタジオで他の⼈の出番を⾒ている時にワイプで抜かれた時の顔の練習をしておこう、と思った時もありました。

写真撮影で棒立ちの私と比較して、アイドル性があるのがわかりますよね

でもテレビに出た時のセラニポージの⾒え⽅って、こんなリアルな⼈間2⼈でいいのか? って思ったんです。ネジがいる世界での扱いそのまま、現実の世界でも謎のアーティストのままいける⽅法はないものかと。
そこで考え抜いて「仮⾯で露出したい」と提案しました。「仮⾯」で「露出」っていう相反するイメージを説明するために、妹に相⽅役をやってもらってサンプル写真を義⽗(プロカメラマン)に撮影してもらいました。「こういう⾒え⽅にしたい」と。

ところが、今でこそ、MAN WITH A MISSION(狼のかぶりもので活躍するバンド)とか、Vtuberみたいに顔を隠すアーティストは当然のように受け⼊れられていますが、当時は前例がなく、⼀笑にふされました。
こんなに魅⼒的なボーカリストがいるのになぜ顔を隠す必要があるのだ、と。それでなんか私、不機嫌になりましたね。そっちの⾔い分もよくわかる! YUMIさんはめちゃかわいい! だから、強くは⾔えなかったのです。この件は私の胸の中でしばらくくすぶっていました。プロモーターにとって私のこだわりなどどうでも良いのかと。今だったらその無茶な要求も聞き入れられただろうし、今だったら、Vtuberブイチューバーアーティストとして、セラニポージ、やったでしょうね。

私は最近よくVtuberの⽅に曲を提供する機会に恵まれているんですが、そんな経緯もあるので、Vtuberのコンセプトにはすごく共感できるのです。Vtuberは、受け⼿の想像⼒を付加すると、どんなものにでもなれる! 私もそういうものになりたかったなぁ、あぁ、なりたかった。
今を⽣きるのに精⼀杯な私なのに、ブレイクが25年後だったり、仮⾯露出がダメだったり、なぜか「今」にフィットしないんですよね。そこがまた⾯⽩い⼈⽣だなぁと思ったりもします。
セラニポージのイメージ操作が⾃分の思う通りにならないいきどおりもあって、後の「ボンバーミンミ」(怒りをためこんで爆発させる歌)を⽣んだので、結果オーライです。

この写真が、私と妹で撮ってもらった「こんな感じでセラニポージ露出したい」というイメージ写真
見た目も不思議でいきたかったんだけどなぁ

2ndアルバム楽曲秘話

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