「SEGA SOUND STREET on Beep21」02 セガラリー チャンピオンシップ─光吉猛修─
"歌うサウンドクリエイター"光吉猛修氏の回顧録コラム6回目と7回目は「セガラリー」編をお届けします!
"歌うサウンドクリエイター"光吉猛修氏自らが、当時の回顧録をお届けする「SEGA SOUND STREET on Beep21」。連載5回目までは「デイトナUSA」についてでしたが、第6回と7回はアーケード版 & セガサターン“30周年”祝賀盤『SEGA RALLY CHAMPIONSHIP - 30th Anniv. Album -』の発売を記念して、「セガラリー チャンピオンシップ」のアーケード版とセガサターン版について前後編でお届けします!
▼光吉猛修氏のコンプリート版インタビューと過去の回顧録もあわせてどうぞ!
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The Memoirs of the Sound Development for SEGA RALLY CHAMPIONSHIP
Opening
「SEGA RALLY CHAMPIONSHIP」が2025年でリリースから30周年を迎えるという事で、記念アルバム制作や、YouTube配信等の施策を行いましたが、Beep21にも特別寄稿という事でセガラリーのサウンド開発に関する回顧録を急遽差し込んで頂く事になりました。
既に発売されているCD『SEGA RALLY CHAMPIONSHIP - 30th Anniv. Album -』や、SEGA SOUND STREETで公開されていますゲストを招いてのセガラリー特別配信等と合わせてこちらのコラムを読み合わせると、それぞれの伏線が繋がり、皆さんの中で一つの答え合わせが出来るのではないかと思ったのが寄稿のきっかけです。
Back Ground Context
自分との戦いの序章
さて、この時の私の心境ですが、実は複雑でした。と言うのも、ラリーの開発に関わり始めた当初、関係各所から「ラリーはどんな歌を入れるのか」という問い合わせや期待の声がとにかく多く、正直個人的には辟易していました。
お察しの通り、皆さんが何に期待をしているかというと、前作「DAYTONA USA」で実装した歌もの楽曲の次は一体、どんな音楽を入れるのか、どんな歌が入るのか、という事です。若かった私は視点が狭く、純粋に期待の声という解釈は出来ず「Let’s Go Away」の様な曲しか作れない人間、と言われている感覚になっていました。
結果「DAYTONA USA」の様な歌を全面にする方向性をやめようと意固地になったわけです。であれば全曲インストにすればいいものの、これも軸がブレブレで本当にお恥ずかしい限りですが、何故かジングル「Game Over Yeah」や「Fiiiiiiiinish,sh,sh」そして「My Dear Friend, Rally」においては「Rally」だけをコーラスで入れるという非常に中途半端なサウンドデザインになってしまいました。
これが、自身が作り上げた「DAYTONA USA」の楽曲の壁の高さ、最大のライバルが自分になった、と痛感した瞬間でした。
水口哲也氏との出会い
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