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ひくひくとウサギの餌を食べてる
一歩進むごとに、過去の一歩が失くなっていく。
いつかこの場所もゼロになってしまうのだろう。
『霜柱を踏みながら 7』
ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある小さなカフェで私はスピナッチサラダを食べていた。生のスピナッチ(ほうれん草)の上にスライスされた生のホワイトマッシュルームがトッピングしてある。それにマスタードドレッシングをかけて食べるのが私のお気に入りで、週に3回はこのカフェに来て必ずスピナッチサラダを注文していた。ニューヨーク名物でもないのだが、どこのカフェやレストランに行ってもスピナッチサラダはメニューに載っている。ニューヨークに行く前の日本では、ほうれん草を生で食べる習慣は一般人にはまだ普及していなかった。そのせいもあり、生ほうれん草をむしゃむしゃ食べる現地の人を見て「そんなの美味しいのかね」と思いながら見ていたが、ある日友人に勧められて恐る恐る食べてみたら苦味もなくとても美味しくやみつきになってしまった。この姿を従姉妹のMちゃんが見たら何と言うだろうとこれを食べるたびにMちゃんのことを思い出すのだ。
『なんか、ウサギみたい...』
あの時、従姉妹のMちゃんはバカにしたような口調で私にそう言った。その時の声のトーンやちょっと異質なものを見るような目は今でも覚えている。
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1,279字
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このマガジンは私の私小説風のエッセイで、月に3本くらい2000文字前後の作品を投稿していく予定です。一回の購入(100円)でマガジン内すべての作品が読めるようになっています。興味のある方はよろしくお願いします。
[私小説] 霜柱を踏みながら
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私小説です。時系列でなく、思い出した順番で書いてます。私の個人的な思い出の物語です。
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読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。