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一端の女は、明るく元気にフェイク スマイル
2022.2.24(木曜日) fake smile
とっても元気な人に会う。
朝、出かける時にマンションのエントランスで管理人とばったり会った。
『会ってしまった』というのが正直な感想だ。
「イトカズさん、おはようございます。今日も寒いですね、気をつけて行ってっらしゃい!」と、明るい笑顔と元気な声で言われた。
あぁ、これが苦手。
この日記に何度も登場するこの管理人だが、私の彼に対する要望は世間的には認められないことと自覚した上で言うが、私は元気な人は好きだけど、元気過ぎる人が苦手中の苦手だ。(これは勝手な想像だが)元気過ぎる人というのは相手にもそれを求める傾向がる。こちらは普通に挨拶しているつもりでも『暗い』『愛想がない』と判断されてしまう。必要以上に元気に挨拶をしてはじめて相手に『普通』と思ってもらえる。
2〜3歩く間に私の中のスイッチを押す。管理人対応用のスイッチだ。
まかりなりにも私は(元)演劇人だ。スイッチひとつで別人になりきることなど朝飯前ときている。ここは昔取った杵柄で腕の見せ所でもある。
スイッチオン!
昔のベッキー並みの笑顔と明るさと大きな声で、
「おはようございま〜す。寒いけど頑張って行ってきま〜す」と目ん玉までクリクリさせて挨拶をする。
管理人は満足したようだった。良かった、良かった。
世渡りは難しい。特に日本においては「笑顔で挨拶」が生きる基本となる。
テレビのニュースやなんかで、犯罪を犯して捕まった人の近所の人などに「どんな人でしたか?」とインタビューしている場面を見かける。
その中に「そんなことする人には見えませんでした。ちゃんと笑顔で挨拶もする人だったしね。いまだに信じられません」と答えているのがよくある。
それと反対に「やっぱりね、なんか変な感じだったんですよ。こちらから挨拶しても下を向いて行ってしまうしね」という答えもある。
そういうことからも考えられるのは、生活は挨拶が基本となっているということだ。
今日のようにちゃんと挨拶をしていると、私が何かの罪で捕まったとしても近所の人は「あの人はいつも明るく挨拶してて、犯罪を犯すような人には見えなかったわ」と証言してくれるだろう(かと言って罪が消えるわけじゃないが)
そんなことをいろいろ考えながらカフェに向かった。
カフェの店員さんの「いらっしゃいませぇ。おはようございますぅ」というテンションの低さに気持ちが落ち着く。
これが某ハンバガーショップだったら、また気持ちが掻き乱されていたことだろう。
誤解されないように書いておくが(誤解されても仕方ないが)元気過ぎる人をディスっているわけではない。ただ、ちょっと低めのテンションの方が心地良いと感じる人間もこの世には存在するのだよということを知ってほしいのだ。私はスイッチひとつで演技が開始できるが、そうはいかない人はきっとソワソワと生きているに違いない……と思うのだ。
*
カフェで新作の「さくらミルク紅茶」を飲む。
これが飲みたかったのだ。
お代わりをして1時間読書をする。
帰りにコンビニに寄って宅配便を送る。
ゆっくり歩いて帰ってきた。管理人室には「館内巡回中」というプレートが貼ってあった。『今のうちだ』と思い、急いでエレベーターに乗り込んだ。
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