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スタディーノート8 亡霊
私は今ミャウーの宿に滞在している。ついにシットウェを後にしたのだ。そっと聴覚を森の虚空の方へ集中させてみる。鈴虫か何か虫と宿のペット犬の耳を強く掻き毟る音しか聞き取ることはできない。宿の主人によれば、昨日、近隣のビルマ軍施設から発砲音が聞こえたという。戦闘を行っている訳でもなく、山に潜むアラカン軍を威嚇するための射撃だそうだ。22時46分、一発の銃声が虚空を切り裂いた。
↑ラカイン州地図
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ミャンマー再訪 〜一年と四ヶ月の月日を経て〜
9月4日午前9時(ミャンマー時間)、ヤンゴンに到着。3日の午後8時に日本を発ちバンコク-ドンムアン空港で乗り換えを経るおよそ半日の旅程であったが、ようやく後は国内線でシットウェに向かうのみである。私はこれまでフィリピン・カナダ・ミャンマー・バングラデシュ・タイの五カ国へ足を運んだことがあるのだが、どの国も空港で入国審査を経て荷物を受け取り、外に出て異国の空気を吸えば「日本に帰りたい」という衝動に駆
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