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カーニオラン考

私の蜂場で飼育しているミツバチは殆どがイタリアン種ですが、一部カーニオラン種もおります。いま飼育しているのはスロベニアから輸入された純血のカーニオラン種ですが、私の目的はカーニオランの純血種を増やしてゆく事ではなく、自然交配によってイタリアン種との雑種交配種を育てていく事にあるので、イタリアン種とカーニオラン種は同一敷地内で飼育しています。

内検していて面白いと思ったのは、純血のカーニオラン群の中にも隣の群から入ったと思われるイタリアン種の迷い蜂が一定の割合で存在している一方で、隣りのイタリアン種のコロニーにカーニオラン種が入っていたりで、自分が想像する以上に巣箱間のドリフトが行われているのがわかりました。巣箱間の距離が近すぎるからかも知れません。

カーニオラン種のミツバチは、12度前後の低温でも採蜜活動を行い、イタリアン種に比べて飛行距離が長いとも言われていますが、私のように君津の山岳地帯に巣箱を置いて採蜜するような場合はイタリアン種よりもやや適性があっている気がしています。また、働き蜂の寿命が長く、必然的に群の中に於ける外勤蜂の割合が多くなるので、貯蜜が切れる事があまりないとも言われています。

私がカーニオラン種の飼育を始めたのはもう10年以上前になりますが、カーニオラン種のミツバチの特性はニホンミツバチに近く、とても可愛いです。カーニオラン種はイタリアン種と同じように扱うとすぐに分蜂してしまうというデメリット(?)もありますが、中群管理がきちんと出来るようになって、ある程度扱いがわかってくると、その魅力にはまってしまいます。

カーニオラン種は決して従順とは言えず、見方によっては扱い難い品種ですが、しっかり意識を向けて面倒をみてあげると最後には期待に応えてくれる品種だと思います。

ところで、ミツバチは犬や猫と違って、複雑な繁殖生理を持っているため、品種改良は容易ではありません。ミツバチのコロニーは、一匹の女王蜂と異父姉妹である何万の働き蜂とオス蜂で構成される有機的な集合体で、良いコロニーというのは、環境の変化に柔軟に対応できる「遺伝的多様性」を持ったコロニーであるといえるからです^_^


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