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秋の建勢

今年は(も)厳しいシーズンとなりましたが、シーズンが終わっても休む暇もなく、これからまた来年に向けて元気なミツバチに育てていかねばなりません。この夏は暑さのせいか女王の産卵が止まり、今月に入って蜂が激減しました。

9月〜10月の2ヶ月はミツバチヘギイタダニ対策、スズメバチ対策、台風対策の3つの対策をしながら、ミツバチの群勢を維持していかなければならないのですが、どれも一瞬でも気を抜くと大変な事になります。目が覚めている間は常にミツバチに意識を向けていなければ養蜂はできません。

ところで、この時期になると観たくなる一本の映画があります。テオアンゲロプロス監督の「蜂の旅人」(原題はΟ Μελισσοκομοσ(養蜂家))という映画です。

この映画は、一言で言うと若いメスと年老いたオスのブルースです。ブルースと言っても暑くて埃っぽいアメリカ南部のブルースではなく、ひんやりとしたギリシャのブルースです。邦題から連想されるような、養蜂家が花を追い求めて旅を続けるという類の、ありがちなロードムービーなどでは決してありません。

この映画は、養蜂を15年くらいやって、なおかつ、50歳〜くらいになった既婚もしくはバツイチの男性が観ると、もの凄く心に刺さり、どうしようもなく陰鬱な気持ちになれる映画ですので、当てはまる方には是非オススメしたいと思います。また、養蜂をやった事がない、やっていたとしても数年、あるいは40代以下の若い男性、もしくは普通の女性の方が観てもカタルシスを味わう事が出来ず、掴みどころのない、単なる暗い映画にしか思えないかもしれませんので、あまりオススメできません。

この映画で私がもっとも印象に残ったシーンは、主人公の養蜂家スピロ(マルチェロマストロヤンニ)がトラックを運転しながら「蜂が減った」と呟くシーンです。全てのシーンや設定に意味を持たせるテオアンゲロプロス監督が、主人公にこのような言葉を呟かせた背景は非常に重いです。とにかく、重く苦しく、救いがない映画ですが、定期的に観ないわけにはいかない名作だと思います。邦題は「蜂の旅人」などと適当に意訳するのではなく、シンプルに「養蜂家」で良かったのではないかと思います^_^

https://youtu.be/0gtYXZ-wz10


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