書籍紹介: 『解像度を上げる』馬田 隆明
最近読んだ、良かった本を紹介する。
以前、同タイトルのスライドが、Twitter (当時) に流れてきた。
ビジネスや物事に取り組む上で必要な「解像度」とは何なのかを定義・整理し、具体例とともに、何故必要なのか、何が必要なのか、何をすればいいのかを掘り下げたスライドで、私は非常に感銘を受けた。
同じ著者が、このスライドにある「解像度を上げる」方法を書籍としてまとめたものが、同書である。
スライドが書籍のダイジェスト版のようになっているため、スライドの内容に共感できなかった人には、本書をおすすめしない。
一方、スライドを見て、より詳しく知りたいと思った人はぜひとも手に取ってほしい。
また、書籍版は、図も適切に入れられているが、文字が主体であるため、長い文章が苦手な人にはそもそも向かないかもしれない。しかし、文章は読みやすく、重要な点が強調されており、非常に情報が多いが、無駄なく本筋からも外れず退屈な部分もなく、これほどよい文章はそうそうない。
解像度を高めるためには、深さ、広さ、構造、時間の視点が必要、という考えのものと、それぞれの視点で、課題の解像度・解決策の解像度・未来の解像度を上げていくかが述べられている。
どちらかといえば、著者がこれまでに実際に経験したことや相談を受けたこと、読んできた(恐らく膨大な)ビジネス書にある知識を、「解像度を上げる」というフレームワークで整理していると捉えた方が正確かもしれない。
自分一人では得られない、膨大な経験と知識が、整理され、どのようにすれば解像度を上げられるかにまで踏み込んで書かれており、読んでいて非常に面白い。有名な話や聞いたことがある話も多いが、著者がそれを「解像度」にどう位置づけるか、などは学ぶところが多い。
著者の要求するレベルは非常に高く、深さであれば、7〜10くらいのレベルの深堀りが必要で、また、サーベイでは100の事例を集めるのがよいとのこと。私個人としては、興味を持っていることに関してはそれなりに深くものごとを考えているつもりであったが、まだまだ浅いということだろう。また、「構造」の整理は、出来る人は当たり前にやっていることが言語化されており、私自身が普段おろそかにしていた部分としても見えてくる。時間方向の意識は、これまであまりピンと来ていなかった部分があるが「なぜ2年前でもなく、2年後でもなく、今なのか」という言葉はすごく刺さった。
これまで私はいろんな会社を経験してきたが、普通の会社でも、優秀な人が多い会社でも、解像度を上げて仕事が出来ている人の割合はそう変わらないように感じる。また、解像度の高い仕事をしている人は周りから信頼され、チャレンジングな機会を与えられることも多いが、一方で、上に上がっていく人は必ずしも解像度の高い仕事をしているとは限らないように見える。
それでも私は、自分の得意としている領域については高い解像度をもっておきたいし、尊敬でき付いていきたいと思うのは何らかの部分で解像度が高い人だと思う。
なので、この本を布教し、解像度を高めあえる人を探したいと思った。
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