家屋調査へ行くセラピストにやめて欲しい3つのこと【地域の生の声】
この前、いつも親しくしているケアマネが病院の療法士に対して怒っていました。
「家屋調査で療法士さんが全部仕切るわ急な日程で同行を提案するわで、何様なの?」
ごもっとも・・・としか言い返せなかった私。
というのも、元々私は回復期病院に勤めていたこともあり、月に7〜8回家屋調査へ行くこともありました。そこでケアマネに電話をするのですが、私も直前に電話するタイプの人間だったので何も言えませんでした。今考えたら大迷惑行為です。
コロナ禍の昨今でも家屋調査へ行く病院は多いようです。
それもそのはず、転倒の半分近くは自宅で起きているため、家屋調査はめちゃくちゃ重要です。
消費者庁:News release,2020
そんな重要な家屋調査ですが、ケアマネに怒られるような案件もたくさんあるため、あの頃の反省とそれを病院勤めのセラピスト達にやって欲しくないという想いを込めて書いていきます。
①スケジュール調整を直前にするな
病院勤めのセラピストなら、一度は家屋調査数日前にケアマネへ同行を依頼をやむを得ずしてしまった経験があるのではないでしょうか。
病院だとケアマネがいないので、ケアマネがどのようなスケジュールで動いている中分からない方が多いかと思います。
仲の良いケアマネのスケジュール帳を見せてもらったことがありますが、1か月の予定が赤色でびっしり。針に糸を通すような日程で予定を組んでいました。
そんな人を呼ぶのに「数日後に家屋調査するから来て」と言うのは、少々無責任だと思われても仕方がないかと思います。
②「知ってますよ」感は絶対に出すな
これがとにかく嫌がられる。めちゃくちゃ嫌がられる。
どのくらい嫌がられるかと言うと、身体のこと何も分からない素人がめちゃくちゃ介入に対して口出して来るくらい。
さて、問題は「知ってますよ感」がどういうものということです。
一番嫌われるのは、療法士が自宅に着くなり全てを仕切り、アレやコレやと改修・レンタルを注文することです。
これのタチが悪いところは、療法士側は悪気があってやっているわけでは無いということです。つまり、当たり前のように仕切って・注文してしまうということです。
では、どんな仕切りがダメなのかというと、
・療法士が全ての情報を知っていて、周りが何を知らない前提で話すこと
・ケアマネや他の業者が何の専門性を持っているのか知らずに仕切ること
・療法士の意見が最重要だと思って取り組むこと
という点です。要は、自惚れるなよということですね。もし、ケアマネの仕事内容が分からないという方がいれば、下の記事をご覧ください。
家屋調査に限らず、色々なところで顔合わせする時は事前に相手がどのような人物なのかを調べておくことをお勧めします。中には、それが社会の常識だと思っている方も多いです。
その上で、療法士にしか分からないことを伝えた上で他の職種の方と一緒に考えながら家屋調査を行っていただきたいと思います。
③報告書にセラピストだけの意見を書くな
家屋調査が終わったら、ケアマネに対して「家屋調査票」を書くかと思います。家屋調査票には本人の状態から家屋状況、レンタルや改修案などを載せてケアマネに伝える役割が有ります。
弊社のデイサービスでもケアマネや地域包括支援センターからの依頼で家屋調査へ行くことがあります。そこでよく分かったことは、家屋調査票どおりの改修・レンタルになることはかなり少ないという事です。
あくまで個人的な感想ではありますが、家屋調査はそんなもんだと思います。では、なぜそのようなことが起きるのか?
それは、福祉用具の導入には順番があるからです。
1.本人からの希望orケアマネを含めた周囲の人からの推薦
2.本人の同意
3.ケアマネから福祉用具業者への依頼
4.デモ品のレンタルや改修案の話し合い(基本療法士は立ち会わない)
5.本人の同意後、ケアプランの作成
6.福祉用具のレンタルや住宅改修の実施
おおよそ、このような流れになります。大体のケアマネが家屋調査票を元に患者・利用者へレンタルや改修案を提供してくださいます。
この時に家屋調査時に納得して決めていたはずのことが、ケアマネと患者・利用者だけの話し合いになった瞬間に意見が180度変わることがあります。
ケアマネからすると、よくあることのようです。なので、ケアマネの希望としては「療法士さんから送られてくる家屋調査のやつに、改修案とかレンタル品を複数個提案する形で書いてくれると福祉用具の業者の人や本人とも話やすい」であった方がありがたいようです。
結局、退院して数か月~数年経てば新たな福祉用具をレンタルして使い始めるので、療法士による家屋調査で退院後の生活は決まる!と思わなくても大丈夫です。福祉用具業者も素晴らしい方が多いので、餅は餅屋で任せた方が良い場合も多いです。
④家屋調査はあくまで「調査」
家屋調査はあくまで調査です。療法士の専門化すげーだとアピールの場所ではありません。私も病院時代はそうでしたが、住環境整備・医学的知識・福祉用具関連のことを学んで家屋調査に挑める療法士にとって、ケアマネや福祉用具業者の必要性を十分に理解は出来ていませんでした。
なんなら、正直「家屋調査に療法士が一人いれば、他の職種には家屋調査の結果を紙で伝えるだけで良くない?」くらいに思っていました。
今思えば、青二才風情の奴が専門職の皮を被ってイキり散らした妄想勘違いでしたが、そう思っている療法士は意外といるのではないでしょうか。
是非、一度上記の内容を参考に家屋調査を行っていただければと思います。では、地域からの生の声をお伝えして〆させていただきます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。