【前立腺ガン治療日記⑦】この病気について考える
小さな臓器の不思議
治療自体は問題なく続く。「ちょい出し」の技術を覚えたら、200ml問題もなんなく解決した。最近の治療は、短い時間で終わるようになってきた。
人間の尿はどれくらい溜まるものなのか。
今回の治療の前に、準備のため何度か入院しなければならなかった。泌尿器科系の治療なので、数日間、出る尿の量を毎回測らされたことがある。一度の排尿で最高750ml計測したことがあった。小さい臓器に、そんなにたくさんの尿が溜まるものだとビックリ。
学生の頃飲んでいたペプシのボトルで750mlというのがあった。お金のない中学生のころは、普通のボトルサイズと数十円しかちがわない「ナナハンサイズ」のペプシを買って部活に向かったもんだ。今考えると、炭酸飲料を飲みながらのスポーツってどうなんだろ?と思う。でも、当時はなんの疑問もなかった。
あの頃は、50歳になった時、自分がガンになるなんて予想も持たなかった。
疑問なんてあまりなかった。
治らないガンもある
病院の治療に来る前に、今日は、知り合い方にお会いして来た。その方もガンを患っていた。その方も最初は一部の軽いガンだと診断されたそうだが、実際は転移が激しく、今も抗がん剤治療を続けている。抗がん剤には種類が多くあるらしく、ほとんどの抗がん剤は使い果たしたのだそうだ。
お話している時は、とても元気そうに見えたが、やはり体へのダメージは大きいのだろう。「では、また」と手を振って別れた背中がとても小さく見えた。「ぼくもガン治療で札幌に滞在しているです」とお話しすると、ひとこと「それは、治るよ」と。そう、ぼくのガンは「治る」のだろう。しかし「治らない」ガンもある。
「治らない」ガンになってしまった時に、ぼくは治療を諦めずに、人生を真っ当できるだろうか。自分の人生を生き切ることができるだろうか。「治る」と言われているガンだから、こんなにのんびり毎日を過ごしていられる。しかし、本当は、たまたま生存率が高いガンにかかっているだけで、この病気に命を取られる可能性はゼロではないのだ。
そんなこんなで、治療は続く。
熱帯夜、夏の札幌。
夕立ぐらい降ればいいのに。
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