体に悪いものでも
私は十二歳で死にたいと思ったが何故か死にきれず、とうとう死ねなくなる出来事があった。これは、そろそろ時効なので好きな時にもう死んでもいいかもしれない。
子宮内膜にポリープの見つかったことは、今月のこと。
痛みが年々ひどくなり、痛みの感覚がグロテスクで生々しくなってきた。
女同士でも私は生理の話をするのは好きではない。常に痛みと不快感の伴うもので、ある昆虫の名を口にするだけでぞっとする人のいるように、聞くだけで不快になるワードだ。だから、SNSで逐一全世界へ報告する同性の気持ちはまるで分からない。
特に目の前の人間が語ると生々しく、私はそう感じるからこそ口にしないし、話題にも乗らない。
ただ、それでも耐えかねるものがあり、婦人科でない通院先の医師(女医)に詳細を話すと、「調べた方がいいかもしれない」と心配され、婦人科へ行くようすすめられたのがきっかけだ。これも、患者と医師の関係性や、プライベートの付き合いがないからこそ言えたことである。
そして、言った先で見つかったのがポリープだ。
いつも前後に特定の部分が痛くなるので、場所に心当たりもある。そうだったかと納得した。
精密な検査はすぐにはなく、検査した医師は「99.9%は良性」とずいぶんなことを言ってくれた。
ただ、私は悪い患者で、女にうまれたことや生きていること自体、大きな災難としか思えない。
それが、女の何たるか。生殖器から蝕まれて死んでいき、好きなだけ呪詛を口にできるのならば、少しでも私に女の苦しみを与えた連中に復讐ができるのならば、この命一つどうなったっていい。
楽に生きることしか婦人科へ希望することはなく、機能を果たさせることのないよう決めている肉体の部位へは、ただただ忌まわしさしかない。労る気持ちなどない。
いっそ、取り出してしまいたいとすら考えていたが、私みたいな女が生殖器の病で死ぬのは単純に面白いと思う。
あの、凛とした医師は私をひどく叱責するだろう。しかし、どちらにせよ女であることに振り回されることに、もううんざりした。
もしも悪性で余命もそうないと判明したなら、私は生きることを手のひらを返すように欲するだろうか。しかし検査がとても面倒そうなので、やはりしない一択だ。