”海外インディーズゲーぽいドット”とは(手法)
喋った:
先週[ノアと黒の魔術師]
https://twitter.com/becomegame/status/1348970439142330369
という作品を予告でプレイしたんですが、
まぁ感想を書かなきゃいけない、つまり上手いこと感覚を捉えて呟きたいなと、
毎回これこそ芯食った表現だろうみたいのを探す訳ですけども、
まぁ最近困ってる辺りにこういうのがあって、↓
> ドットが海外インディーズゲーの様な瑞々しさ、明瞭な空気感を覚える
つまり、海外インディーズゲーに特有のドット感をどう言葉で表したものかと悩んでいる。
まずそもそも”海外インディーズゲーのドット感”って書いても、本当に読み手がそれを思い描いてくれるのか、
だいたい海外のドットつっても千差万別だろとかね。
なのでやっぱり、”瑞々しさ”とか”空気感”みたいな言葉を添えざるを得ないんですが、
自分でもちょっと分かってない所を修飾的に誤魔化してるなぁ、という座りの悪さがあり。
でここで一発、詳しく調べてみるかと。
一応人種的な違いというのがあって、例えば西洋人とアジア人は瞳の虹彩が違う、
西洋人は深い青色をよく捉える、なので例えば洋画だと暗い画面が割と続いたりするよね、日本人だと画面暗い暗いなっちゃう……とか言われるんですが、
まぁそれを置いておくとしても
明らかに昔のSFCみたいなドットと、最近のインディーズゲーのドットの違いはそれだけじゃなく”方法”が違いそうだぞと。
何か固有の方法があって、そこから辿れば上手い事言えるかも知れん。
でただ闇雲に調べたけじゃ知識が自分の中を素通りしちゃうんじゃなかろうかと、
そこでまず取っ掛かりとして、調べる前に一応こういう方法があるんじゃないか、と頭を捻って考えてみます。
それこそ自分も一応、昔々は分からないなりにドットを打ったりしてましたので……
えーその頃、10年以上前ですがやってた方法が、
EDGE2というドット絵ツールで本当に1ピクセルずつぽちぽち打つ、っていうものでしたね。
でその環境で出来上がったのがこれ。
どうでしょう、何か土気色というか、一切の華やかさが無いしディティールも良く分かんない、
なんだこれっていうレベルでしょう。
エロゲですからここがメインじゃないとしても、まぁこれを有料として世に出していたんですからね。
それは現在の評価星3.85みたいな事にもなるよねと。
だって芯食ってないもん、やってる事が。エロSTGならやっぱり気持ちいい感じのドットを見たいだろ、っていう。
で10年経った今もゲームは作っていますが、最近ではもうそこが争点じゃないって分かってるから
ある意味肩の力が抜けて、今では写真見ながら、saiで絵を塗るみたく描き、
4倍の大きさで描いたものを最終的に伸縮したりしてますね。それがコレ。
……うーんやっぱりぱっと見、カジュアルじゃないというかこれ、”ドット絵”って感じじゃないよねと。
なんかゲームって感じが全然しない。
第一、これを動かそうとした場合、どうすんだよって。
逆に一点モノとして描くんであれば、もうちょっと良い方法があるだろうし。
そこから、少し方法を工夫した顔グラドットがこれですね↓
まず下絵を手で描いて、これをAIの自動着色、そして色合いを合計16色に落としてくれるみたいな
webサービスが最近はありますから、それを利用しました。
これはそこそこ見栄えがするかなと。
とまぁ、事ほど左様に「方法」で変わって来るんだよな、というのは身に染みて感じる訳です。
他に思い付くのは、
やった事ないんで空想論ですが、webサイトでドット風にできるという事は、
きっとツールの1パイプラインとして、その変換処理を内包する物があるんじゃないだろうか、
つまり最近のプロは一見ドットで苦労してる風でいて、
まず3Dモデルを作り、なんかそれを最終的にドット風にする凄いシェーダーがあって、
もうモデルとモーションさえ作ったら、次々と生成できるみたいな事になってるんじゃなかろうかと。
そんな一発で解決する凄い手法を、やり手たちは隠しているのでは、と疑念を抱くわけです。
これはなんだ、言うなら一つ一つ手摘みしていた農家が、大規模農場のコンバイラーにやられてメチャクチャ買い叩かれてしまう、
そんな搾取を感じるぞと。
これは情報のアップデートをせねばならんと、いつしか調べ始めた目的も変わっていました。
で結構ググってなかなかピッタリのが出ず困りましたが、
結論を言うと、「ドット」ではなく「ピクセル」で検索すると良い感じでしたね……
で、出て来たのが、なにやら有名な海外インディーズゲームクリエイター3人のお話を聞いたよ、という記事。
これ、4gamerとファミ通の両方あって、
https://www.4gamer.net/games/408/G040826/20190601018/
https://www.famitsu.com/news/201906/04177285.html
あくまで概要を述べた4gamerと、インタビューを割とそのままの感じで載せてるファミ通という対比が面白くて、
例えば4gamerが
> ゲーム内のアートはゲームの「魂」であるため,すべて自社のアーティストで描いているという。
という記述なのに対し、ファミ通が
> 音楽とアートは全部私がやっています。魂だから!(※なぜかここだけ日本語で回答)
みたいなライブ感ですね。
で、これをよく読むと、手法についても触れられていますね。
> ラウラン氏とリー氏は,「Adobe Photoshop」をメインに使っている
との事で、あぁそうかぁと。
もうEDGE2みたいなドットツール、取り扱える色は最大256色制限なんて時代でも無いのかと。
今どきドット打つのもフォトショップかぁと。
まぁ補足すれば残り1人のクリエイターはなんと、マイクロソフトのペイントで描いてるって事で、
何を目指すか、大事なのはその狙いを秘めてちゃんと取り組む事なのかも知れない。
特に変わった事をやるつもりが無いならまぁ、
高機能ツールの方が良い、ベストプラクティスだよね……って事になるかと思うんですが。
Photoshopだとドット絵がどう変わるのか……とかも聞きたかったんですが、
両方の記事ともそれには触れてないですね。
うーむ。
で出ましたよというのが、やっぱ3Dモデルの話。
> アニメーションの一部などは3Ds MAXというキャラモデリングソフトを使っています
> キャラもオブジェクトも背景もすべてピクセルで描いていますが、アニメーションは3Dです。2Dのピクセルアートと3Dのアニメーションデータを作って、自作ツールでそれらを組み合わせると、とてもリアルな動きをする2Dキャラができるんです。
というのを、それぞれ別のアーティストが答えていて、やっぱりやと。
ドットの何が辛いかって一点モノにこだわるのは楽しいんだけど、それを走らせてくれ、ジャンプさせてくれというアニメになった段階で、
そこはもう、海外インディーズは3Dなんかと。
自作ツールとかまで言ってますからね……
ただこう言った時に予想できるのが、安易な3D化で確かに動きはぬるっとするけど、
そこが悪目立ちしちゃうっていう懸念ですよね。
そこら辺の対策が読み取れるのが、
> どうやってエフェクトを付けているかというと、背景は完全にパララックスのスクローリングを使ってるんですが、キャラや敵は一部3Dを使っているんです。
> 一部の大きなキャラや大切なキャラについては、いったん3Dモデルを起こして、それをスプライト化、ピクセル化して、それを見ながらモデルを作るという感じです。
といった受け答えの辺りかなと。
デジタルのグラフィックは元々ゲーム上で表示するもので、
ましてインディーズなら、絵描く人とプログラマーが同じだったりもしますから、
当然ゲーム上、プログラム上での特別な表示方法も合わせて考えたら良いじゃんという事ですね。
そうやって、ゲームでしか有り得ない絵作りってのをするんだと。
パララックスってのはあれです、メガドライブとかで昔あった、多重スクロールみたいな表現ですね。
>> いったん3Dモデルを起こして、それをスプライト化、ピクセル化して、それを見ながらモデルを作る
って言うの、何やらかなり凝っている事が窺えるんですが、2つの記事を見た感じ、具体的なワークフローは分からず。
ただ3Dから始めてもドット一発じゃなく、かなり修正をする様だぞと。
そして最終的に目指す物が分かってないと手法もこだわれないよねって話で、
そこで出て来るのがドットを打つ前、コンセプトアートの話であると。
> アーティストに色鉛筆でデッサンを描いてもらったり、Photoshopでデザインしてもらいます。
> それをもとに、3Ds MAXでごくシンプルなシェイプを組み合わせた3Dキャラを作り、アニメーションを付けて、最後に特製の自社ツールにかけると、ピクセルっぽく出力されるんです。
私も写真を元にsaiで描いたら、ドットぽくは無いんですが、それなりに独自の感じになったように、
そう考えると、ドットにする前、コンセプトアートの影響も大きいんだろうなぁと。
こうして作業に取り掛かる前や、作業そのものに色々なツールを起用して、
絵作りで目立てるインディーズゲームになるという訳かあと。
自分が10年以上前に、腕も良くないし、大して狙いも無いのに、
1ピクセル1ピクセルとまぁ、無駄な苦労をしていたのとは別物の努力を、
これらのインディーズゲーム作者さん達はしていたのだなぁと。
みんな学校の美術の時間で自画像とか描いたでしょうが、あそこでの、
紙に鉛筆で描くっていうやり方は恐らく50年前もそうだったろうし、もしかしたらあと50年経っても同じかも知れない。
日本人は……っていうと安易な批判ぽくて嫌ですが、
日本人には”絵”というと、そういうどこか匠的な、修行で質を上げていくものって発想があるのではなかろうかと。
勿論それもあるのでしょうが、”それだけしか無い”って考えるのはアカンよなと。
50年前もあった手法で現代も取り組むという事は、
50年前の大作家でさえも同じラインに上がって来る、敵になるって事じゃないかなと。
そうではなく、ここ50年で新しく出来るようになった方法を取り込めば楽になるかも知れないのにっていう。
まぁそれとは別に、やはり匠的なものが効果を持つ場面もあって、
実際、初めに見せた私の顔グラドットも、元々手で描いた絵があるからじゃんって事もあるんですが……
だからこの辺りがもしかしたら、自分のオリジンになるかも知れず、
他と組み合わせてより効果的な手法に磨き上げて行こうって事ですね。
いまどきゲーム全体として際立つ物を作りたいって時には、
色々な技術を組み合わせる、まさに”絵作り”に奮闘しなきゃいけないのだなぁと。
自分も色々と新しい物にちょっとずつ触って、で、これに自分のこれを組み合わせたらどうなるだろうとか、
そんな実験を重ねて行きたいと思いましたね……
喋るだけでも行けないんで、とりあえず自分はspineというツールを今割とやってますけど、
これ本来はイラストを動かす用なんでしょうが、えぇい構うもんかと、
ドットを読み込ませて動かしたらどうなるだろうかとか。
あと最近、TVアニメを60fpsに補完してぬるぬるさせるツールってのを最近ツィッターでも見ましたが、
じゃあこれ自分の同人ゲーの手描きアニメとか、ドットアニメに使えないのかね、とか。
そんな絵作りの実験、そういう物をやっていかなきゃいけないなぁと。