母のこと 手作り封筒
手先が器用で、きれいなお菓子の空き箱や包み紙が大好きでコレクションしていた母。子供のころ、コレクションの中から、教科書のブックカバーにする包み紙を一緒に選ぶのが好きだった。
母は今や、ゴミの中で寝起きしている。
先週、一緒にリビングの膨大なゴミ、母に言わせれば大切な書類を仕分けしていた時「これ、要る?」と渡されたのが包み紙の束。
反射的に「要る」と受け取り、心のなかではすぐに捨てようと思っていた。
よく見るとそれらは、ひとつひとつ封筒になっていて、「ちょっとしたものを渡す時に入れるのにとても便利」なんだそう。封筒張りの要領で、裏の模様合わせも完璧。「少し前は、よく作っていたのよねぇ」と懐かしむ母。
確かに100円ショップにも小さな袋が売っている。需要はあるのだ。
今はもう、何かを渡す相手も機会も減り、作る意欲もなくなったのだろうか。
もらってきた母の作品たちは、今も私の手元にある。
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